東南アジアにおける湿地管理促進業務(2015年度)
業務の背景と目的
環境省は、1989年より東南アジア各国の湿地管理能力の向上、及び各国の湿地のラムサール条約への登録等を支援しています。2014年度は、ミャンマーの条約湿地であるモインジー湿地において経済的価値評価を行い、その結果をまとめたパンフレット等を作成・配布し、同湿地の重要性について啓発しました。
2015年度の業務は、ベトナムの紅河デルタに位置するタイトゥイ(Thai Thuy)湿地において経済的価値評価を行い、その重要性についての理解を広めることにより、タイトゥイ の自然保護区指定に向けた機運を醸成するとともに、紅河デルタにおけるその他の重要サイトの保全の推進に寄与することを目指すものです。また、ミャンマー及びベトナムでの評価に基づき、国内外の代表的な湿地に適用可能な簡素な経済的価値評価ツールを開発し、湿地の保全に資することを目的としています。2015年6月に開催されたラムサール条約の第12回締約国会議で採択された条約の戦略計画2016-2024では、湿地の価値を証明・文書化・配布することについても目標の一つとして掲げており、本業務はその目標に対応するものといえます。
業務概要と成果
タイトゥイ湿地が有する主な生態系サービスについて、現地関係者へのヒアリングなどを通じて下記の4項目を選定し、簡易的な経済評価を行いました。評価においては、「生態系サービスを評価するツールキットTESSA(Toolkit for Ecosystem Service Site-based Assessment)」 をベースに簡略化した手法を用い、既存のデータのほか、インタビュー調査によりデータを収集し、各項目の価値の経済的評価を行いました。
1)野生の収穫物(魚類、貝類)
2)魚類や貝類の養殖、天日塩田などの生産品
3)災害リスク低減(マングローブ林による減災効果)
4)炭素貯蔵による気候調整
調査結果は、普及啓発を目的とし、下記のパンフレットとリーフレットにまとめました。
また、本事業を通じて湿地生態系サービスの経済評価のための簡易ガイドを作成しました。
ワークショップ:プレゼンテーションの様子
植林によるマングローブ林
集約型の水産養殖池
天日塩田