IBA(重要生息環境)

© Consuelo Sartori

IBAとは

IBA(Important Bird and Biodiversity Area)とは、鳥を指標に生物多様性の高い地域のことです。バードライフ・インターナショナルが主導してきた活動で、1980年代にまずヨーロッパで開発されました。

IBAは鳥の種や分布、生息地など、生息状況に関する世界共通の基準を用いて選定され、世界では12,000ヶ所以上、日本では167ヶ所がIBAに選定されています。優先すべき地域が一目で分かるため、保護活動の計画立案に役立つ優れた資料として認められています。また、IBAの目的は、ネットワーク化により保全や持続的な管理を促進させることにあり、一定期間ごとにモニタリングを行い、最新のデータを公開しています。近年、海域でも マリーンIBA の選定を進めています。また、IBAの中でも特に生息環境の破壊や劣化の危惧が高い地域を「IBAs in Danger」として選定し、保全活動を優先して行っています。

選定されたIBA

世界 12,126ヵ所 / アジア 2,381ヵ所 / 日本 167ヵ所

ツールとしてのIBA

IBAは、Key Biodiversity Area (KBA)や他の保護地域や生物の生息分布情報などと合わせて、生物多様性に関する総合的な地図情報ツール、IBATにも組み込まれています。

 

鳥を指標にするのはなぜ?

食物連鎖の上位を占める鳥類は、生態系の変化や環境汚染物質の影響を受けやすいため、自然生態系の健全度を示す大切な指標となります。また他の生物に比べて観察が容易なだけでなく、世界中にたくさんのバードウォッチャーがいるため、情報が集まりやすいという利点もあります。

 

アジアにおけるIBA

1. 鳥類にとって重要なアジア

アジアには極地の針葉樹林から熱帯雨林まで多様な自然が広がり、約2700種の鳥が生息しています。それは全世界の4分の1を超える数です。

2. アジアの鳥類とその生息地への脅威

工業化による環境汚染、大規模な森林伐採、違法な焼き畑、密猟など、人間のさまざまな活動によって生息地の質は低下するとともに鳥類の生息域はどんどん狭められています。アジアでは 332種もの鳥が絶滅の危機に瀕しています。

3. IBAのうち82%が絶滅の危機にある鳥類の生息情報をもとに選定されました

アジアで絶滅の危機に瀕した鳥類のほとんどがIBAに選定された地区でみられます。

4. アジアの IBAは半数近くが、保護されていません

アジアで選定されたIBAのうち、43%は国の保護区などに指定されていますが、14%はその一部しか保護区に含まれていません。アジアでは、これらのギャップを埋めるためにIBAのネットワークを強化させる必要があるのです。

 

LCG─住民主体の保全活動を推進

バードライフ・インターナショナルは、IBAに選定した地域にパートナー団体の協力を得てLCG (Local Conservation Groups:地域保全グループ)を組織し、地域住民による保全活動を推進しています。住民の参加を得る事で継続的な保全が可能となり、持続可能な保全・管理を図る過程で地域の人々の生活や社会の質の向上をめざすことができます。アジアには120万ヘクタールの自然保護区があり、800以上のグループが保全活動を行っています。

バードライフ・インターナショナルのIBAの活動が、経済Trend (2012年2月号)に掲載されました。

アジア地域を対象としたIBAワークショップを2012年10月に開催しました。

 

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