現状と脅威

ヒガシシナアジサシ(右)とオオアジサシ(左)
( 写真撮影:陳水華)

ヒガシシナアジサシの現状

ヒガシシナアジサシはIUCN(国際自然保護連合)のレッド・リストで絶滅危惧IA類(最高度の絶滅危惧)にランクされています。個体数は少なく(50 羽以下)、わずか2ヵ所の繁殖地でしか見られません。

ヒガシシナアジサシにとっての脅威

ヒガシシナアジサシに対する最大の脅威は人間による迫害と撹乱です。

東アジアの沿岸部では海鳥の卵が食料として採取されており、これによりこの地方の大きな海鳥のコロニーが消失する結果を招きました。馬祖は1950 年代以降の政治的緊張により例外的な場所となり、馬祖列島は軍隊にのみ上陸が制限されてきました。

鳥の卵や雛を捕食するげっ歯類などの外来種も本種に対する深刻な脅威と考えられます。

公害と魚の乱獲も繁殖中のヒガシシナアジサシにとっての脅威です。

2008 年に福州で発見された1 羽の下くちばしには廃棄物のチューブが付いていました。その状態ではこの個体は魚を捕ることも食べることもできず、保護団体はこの鳥を捕獲してチューブを外そうとしましたが成功せず、この個体はその後2度と見られず、その運命もわかっていません。

ヒガシシナアジサシの個体数が危機的に少ないことから、巨大な台風や鳥インフルエンザなどの自然災害により個体群が一掃されてしまう可能性が極めて高いといえます。本種を長期的に存続させるためには、いくつかのコロニーに分散させることが重要です。

本種の希少性(実際にアジアで最も絶滅の危惧のある種の一つ)を一般の人たちが知らないことも保護活動を進める上で一層の困難を招いています。

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浙江省象山県の韮山列島

海鳥の卵の密猟者(写真撮影:陳水華)

浙江沿海で、海鳥の卵をメニューに表示する料理屋(写真撮影:陳水華)

2008 年に福州で発見、下くちばしに廃棄物のチューブが付いていたヒガシシナアジサシ
(写真撮影:福建省観鳥会)