リオ会議の反省―レトリックは再確認や更新されたが何かが本当に変わったのか?

10日間に亘る国連持続可能な開発会議(リオ+20)での討議の成果文書「The Future We Want ―私たちが望む未来」を終わり、5万人の参加者が帰国の途についたので、合意に至った内容についてここでよく考えるべき時でしょう。

リオデジャネイロでの最初の数日は、コンセンサスが取れたのは文書の40%だけだったので、合意に達する可能性は僅かしかないように思われました。しかしホスト国ブラジルが会議の指揮を取り、文書が練られ、奇跡的にも合意に至り、各国のリーダーが現地入りした時にはゴム印を押せば良い状態までの準備が整ったのです。

しかし、多くの会議参加者は深い懸念を抱いています。リオでの合意事項の大部分が既に各国政府がこれまでに合意した約束を単に再確認しただけだったのです。その中のいくつかの項目は20年前の1992年の第1回リオ地球サミットものでした。政府は2009年のコペンハーゲンでの結論の出ない、手厳しい気候変動に関する交渉の陰の中で活動を続けているのです。話し合いが完全に決裂することを恐れて、彼らは妥協をして合意に達したというより、不満ながら内容を受け入れ、最低の共通基準に合意したように見えます。

「地球の現状に関するかなり多くの知識、数十億人という受け入れがたい貧困、引き続く生物多様性の急激な減少、気候変動を考えると、政府はリオ+20に新たな緊急性を擁して臨むだろうと考えていました。」とバードライフ・インターナショナルの政策部長メラニー・ヒースは言いました。「勇気と断固たる行動が持続可能な開発の道を進むためには必要でした。」

この道は持続可能な開発の3つの柱、経済・社会・環境、の価値を認識することが必要でした。しかし、これらを統合することの必要性は、おそらくは西側諸国の財政的不安定さにより、これまで以上に経済的未来の人質に留めおかれました。

持続可能な開発を必要なスケールで支援するための財政は、G20での化石燃料への補助金からの段階的廃止に関する力強さに欠ける声明に示唆されたように、リオでは討議のテーブルにも上りませんでした。

「100人を超える首脳が多くの、素晴らしい奮い立たせるような言葉が話されました。持続可能なイニシアティブを支える新しいスキームも発表され、多くの良い‘考え’が要約されました。けれども、私たちは考える以上のこと、すなわち実行と行動が必要なのです。」とバードライフの国際生物多様性コーディネーターのカロライナ・ハズィーンはコメントしました。

成果文書の良い点には2010年に生物多様性会議で192の参加国により合意された2011~2020年生物多様性のための戦略プランの重要性が確認されていることで、これは経済、社会、環境問題を統合する愛知ターゲットを含むものです。

「これらのターゲットの再確認はThe Future We Wantとして大歓迎です。政府はこれらのターゲットを実現するために緊急に行動しなければなりません。もし達成されるなら、それは持続可能な開発にとって大きな貢献を果たすのです。」とカロライナ・ハズィーンは言いました。

成果文書の中のその他の肯定的な点にはGDP+があり、これは私たちがGDP(国内総生産)を補完するため、より幅の広い基準を必要とすることを認識し、国連の統計担当者にこのことをベースに作業を始めることを要求するものです。

2015年に期限が切れるミレニアム開発目標に代わり、持続可能な開発目標(SDG)の構築に向けたステップが取られました。持続可能な開発と貧困の撲滅に対するグリーン経済の貢献が認識されました。

「しかしこれら全てのイニシアティブに対して、会議の結果は自然が受けるに値する認識を与えてはいません。自然の富と社会の幸福を説明する更なる方法が、どのような新たなGDPの測定方法にも組み入れられていなければなりません。SDGは開発と環境の間のバランスに再び対応せねばならず、自然と生物多様性の基盤となる役割が明確に認識され、グリーン経済が自然と調和して運営され環境の限界を守らなければなりません。」とメラニー・ヒースは言いました。

各国政府はもっと勇気が持てたはずで、このプロセスに少なからず貢献した市民社会の声に耳を傾けるべきでした。
海洋と有害な補助金に対するもっと意欲的な決定も必要でした。環境的にも生物学的にも微妙な地域の効果的な保護を含む、国家管轄権を超えた地域の海洋生物多様性の持続可能な利用に対処する国連海洋法条約の合意交渉の代わりに、リオ+20は前進のための他のプロセスに責任転嫁をしたのです。

「過剰漁獲、破壊的な農業の実践、化石燃料の使用を促進する補助金などの、持続可能な開発を弱体化させる非合理なインセンティブを改めるような強いものがありませんでした。」とバードライフの気候変動担当ロバート・マンローは言いました。

「そのような重要な決定は将来の有望なプロセスへのラインを押し下げてしまいました。私たちは道を見失い、さらに弱められることのないよう望んでいます。とカロライナ・ハズィーンは言いました。「これらのことは現代社会が向き合っている最も困難で複雑な問題だという事実から目を反らすことは出来ません。ローカル規模やコミュニティ主導の持続可能な開発の多くのすばらしい実例を聞いて励みになりました。これが未来です。しかし、地方での活動を地球規模での変化に導くためには、私たちは環境の限界内で生活する公正で公平な社会が必要です。私たちのリーダーはより勇気があり、より希望を持った約束をする用意がいつでも出来ていなければならず、またそれらを実行するために彼らの力の範囲で市民社会、企業および個人と活動するためにあらゆることをやらねばなりません。」

詳しくはこちら

  1. TOP
  2. 世界のニュース
  3. リオ会議の反省―レトリックは再確認や更新されたが何かが本当に変わったのか?