オウム類が最も危惧される鳥と判明

クルマサカオウム: オーストラリアの乾燥地帯に生息する非絶滅危惧種のオウム
写真提供: Chris Parnell

バードライフやオーストラリア国立大学などの科学者が、オウム類が全ての鳥の中で最も絶滅が危惧されるグループであるとの調査結果を発表しました。それによれば、現生の種の28%(398種のうちの111種)がIUCNのレッドリストで世界的に絶滅が危惧される種に分類されています。

調査によると、比較対象とした他の鳥のグループ(海鳥、ハト類、猛禽類など)に比べてオウム類の絶滅の危険度が高いと評価されています。歴史的に分布が狭く(例えば島に生息する種)、体が大きく、長命で、森林環境に依存するオウムはより脅威を受ける傾向にあります。体の大きなオウムは個体群密度が低い傾向があり、ハンターに狙われる危険がより多く、一方森林性のオウムの大部分は樹洞に営巣するので、原生林の伐採が巣作りと繁殖成功度に深刻な影響を及ぼします。

「この調査によって、全体としてオウム類が比較対象の他の鳥種よりも絶滅の危険度が高いことが確認sれました。実際にオウム類の56%が減少しています。彼らは様々な脅威を受けていますが、特に森林環境の喪失と劣化、農業の拡大、狩猟と罠猟が主な要因です。オウム類は野生生物の売買で最もよく目にする鳥として報告されています。けれども今回の調査はまた、昔から人々を魅了してきたこの魅力的で頭の良い鳥に対する保護対策の優先事項を示し、カロライナインコやゴクラクインコ(注: 前者は米国の東部、後者はオーストラリアにかつて生息していた絶滅種)に続いてさらに絶滅する種が出ることを防ぐ方策も示しています。」とバードライフの科学部ヘッドStuart Butchart博士は言いました。

調査により以下の10カ国がオウム類の保護で最も優先度が高いことが分かりました: インドネシア、ブラジル、オーストラリア、コロンビア、ボリビア、エクアドル、ペルー、パプアニューギニア、ベネズエラ、メキシコです。新熱帯区(中央および南アメリカ)では生息地の保全と管理、アフリカでは法律の整備と生息地外保全、東南アジアとオセアニアでは認知度の向上と生息地保全が優先して行う必要のある活動です。

絶滅リスクの増大(絶滅危惧ⅠB類から同ⅠA類への格上げ)は、その国の一人当たりGDPと正の関係があります。先進国ほど都市化の度合いが高い傾向があり、その結果、残っているオウムの生息地に加わる圧力が増加するのです。

興味深いことに、また直観的に反したこととしては、今回の調査で絶滅のリスクはペットとして飼育されているオウムの方が低いことが分かりました。これは飼育され、国際的な鳥の商取引対象の種の大部分が非絶滅危惧種であることを示す最近の研究を支持するものです。これは密猟者の多くが入手しやすく捕獲も容易な種を対象としていることが大きな理由と考えられています。けれども、密猟は多くの種を急速に絶滅に向かわせています。

死んだオウム: 歴史からの悲しい教訓

絶滅したオーストラリアのゴクラクオウム。この標本は(オス)リバプール博物館に収蔵されており、1844年に博物学者John Gilbertが収集したものの一つ。確認されている本種の最後の記録は1928年。 写真提供: Edward Parnell

絶滅したオーストラリアのゴクラクオウム。この標本は(オス)リバプール博物館に収蔵されており、1844年に博物学者John Gilbertが収集したものの一つ。確認されている本種の最後の記録は1928年。
写真提供: Edward Parnell

バードライフがIUCNのレッドリストで公式に‘絶滅’に分類しているオウム16種のうち14種は島嶼に生息地が限られていた種で、17世紀中期以後ヨーロッパ人の到来に伴い姿を消しました。二つある例外の一つは北アメリカのカロライナインコで、この種は人による迫害と森林伐採により姿を消し、1918年にシンシナティ動物園で死んだオスが最後でした。もう一種はオーストラリアのクイーンズランド南東部のゴクラクインコで、シロアリの蟻塚に営巣する草原のスペシャリストでしたが、1928年に観察が確認されたのが最後でした。

今回の調査(‘オウム類の絶滅に影響を及ぼす生態学的、社会経済学的要因’)はBiodiversity Conservation誌の2016年2月号に掲載されています。

 

報告者:Ed Parnell

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