EUのエネルギー連合は気候変化による大惨事を防げるか?

エネルギー連合が目標を達成するのに残された時間は短い
写真提供: Thewindpower.net

正常に機能しているときは、競争市場が必要とされる場所への投資を促し、コストを引き下げ、イノベーションを誘発します。近代化、投資および計画における政府の役割を軽減、あるいは無くしてくれます。

このメカニズムはスマートフォンや自転車など消費者が選択することができる場合には極めて上手く働き、間違いが起きることもあまりありません。けれども市場が機能せず、賭けに出る余裕がないときにはどうなるでしょうか?これが正に欧州のエネルギー問題の立ち位置なのです。

私たちは2020年代にはエネルギー分野の投資から極めて具体的な成果を出さねばなりません。バードライフはEUがエネルギー使用を削減し、一方で、環境に配慮した再生可能エネルギーや電気ネットワーク技術を開発し、持続可能な量と種類のバイオ燃料だけを使用するようになることを期待しています。

 ‘エネルギー連合イニシアティブ’は重要事項を取りまとめることを目的としたEUの取り組みです。そこには気候変化、エネルギー効率、イノベーション、‘明かりを点けておくこと’などが含まれます。エネルギー連合の5番目の柱は、取引と競争を増やし、他の4つの目標の達成にもつながるような仕組みづくりをすることです。

そうなることを期待しましょう。気候変化による大惨事を防げるかどうか、そしてその過程で不始末による自然環境の劣化を防げるかどうかはそれ次第です。適材適所、かつ十分な投資とイノベーションが必要です。時間は限られており、現状、明確な約束や政治的にしっかりとした計画がない中で、市場メカニズムにより成果がでる見込みは極めて僅かに思えます。

市場をどのように設計するか、2030年に私たちが望むどの道筋に対して、社会や自然に対してどれだけのコストをかけて、何を目的として計画するのか、決める必要があります。けれども、これらの決定はエネルギー連合がどうあるべきか、というさらなる疑問が出てきます。例えば、これらの問題の決定には誰が関与すべきか?どのように決めるべきなのか?誰に対して責任を持つべきか?などです。

11月26日に欧州の首脳は欧州委員会でエネルギー連合の統治方法について検討します。これまでの合意の原案は、EU加盟国それぞれのエネルギー・ミックス(異なるエネルギー源の割合)の管理を欧州の利益より上位に置くことにより、加盟国の柔軟性を最大化するアプローチを進めるというものです。これは拘束力のある約束(例えば再生可能エネルギーの開発に関する件など)を最小化し、同時に将来のEUあるいは各国の効果的なエネルギー・システムを計画するものです。

現在の提案によれば、加盟国は2020年以降の国レベルのエネルギー計画および気候計画を‘簡潔’で‘ハイ・レベル’な戦略文書として作成します。ただし、これには説明責任が全く、あるいはほとんどなく、実際上は計画とは言えないものです。これは私たちが各国の政府と産業界が良識に基づき正しいことを行うということに多大な信頼を置かなければならないことを意味します。

もし私たちがエネルギーへの投資者を安心させる目標を約束できず、エネルギー連合に対するEUの強力な支配を望まないなら、野生生物に被害を及ぼさない持続可能でクリーンな電力を得るためには、適切な技術と場所に十分な投資が行われるような信頼度の高い国家(およびEUでの)計画を策定することが一層重要になります。これらの計画は相反する、空疎な希望を並べたリストではなく、詳細な戦略的提言が含まれたものでなければなりません。成功の鍵はEU加盟国にエネルギー・ミックスに対する責任をもっと持ち、どのように展開するかを要請することです。

欧州委員会でこれらの案件を討議する11月25日に発表させる‘環境に有益な再生可能エネルギーの実現’会議を注意しておきましょう。バードライフ・ヨーロッパと英国のパートナーRSPBへの報告の中で、欧州環境政策研究所はエネルギー連合の目標を達成し、自然を守るための2020年以後の政策枠組み策定について説明しています。

 

報告者: Ivan Scrase

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