桁外れの水鳥のコロニー: プレック・トアールがラムサールサイトに認定

プレック・トアール: 東南アジア最大の水鳥のコロニー
写真提供: Sun Visal

広さ21,342ヘクタールの東南アジア最大の水鳥のコロニー、プレック・トアール(ラムサールサイトNo. 2245)はカンボジア王国政府により国際的に重要な湿地(‘ラムサールサイト’という名称で知られる)に指定され、ラムサール条約事務局により認定されました。カンボジアで4カ所目となるラムサールサイトの発表は首相令により行われました。

環境省が野生生物保護協会(WCS)との緊密な協力により1999年にコロニーの保全活動を開始するまでは、過剰な水鳥の捕獲によりプレック・トアールの東南アジア最大の水鳥のコロニーとしての地位は危険な状態にありました。数十年に亘り卵と雛が採取されていたことにより、コロニーは現在の規模の数分の一でした。かつて卵の採取を生業にしていた人たちは巣の監視員として雇用され、繁殖期を通して樹上の監視台に常駐し、繁殖する鳥の保護と監視を行いました。この保護活動は今も続いており、プレック・トアールでは現在少なくとも10種の世界的絶滅危惧種の水鳥5万羽以上が繁殖しています。その中には東南アジアのみで繁殖するフィリピンペリカン、世界全体の個体数のほぼ半数ものオオハゲコウ、数千羽のコウノトリ類とヘビウ類が含まれています。これがプレック・トアールがラムサールサイトの認定を受けた理由です。プレック・トアールは毎年数千人の観光客を呼び、またトンレサップ湖で最も収穫の多い漁場となっています。

「プレック・トアールがラムサールサイトに認定されたことはカンボジアの誇りといえます。それは政府、地元コミュニティ、NGOの長年に亘る苦労が認められたことを意味しています。また、カンボジアの自然の驚異としてのプレック・トアールを今のように再生したこのような素晴らしい協力が今後何年も続く道を開くものです。」と、WCS(野生生物保護協会)のカンボジア・ディレクターのロス・シンクレア博士は言いました。

「私たちはカンボジア王国政府がプレック・トアールを新しいラムサールサイトに推し進めたことを祝い、政府が将来もっと多くのラムサールサイトの指定が得られるように支援し、地元の人たちや環境の利益のためにそれらを持続的に管理することに期待しています。」とアジア・オセアニア・ラムサール事務局の上級地域アドバイザー(ラムサール事務局)のリュウ・ヤング博士は言いました。

カンボジアの国土の30%は湿地で、その大部分は絶滅危惧種の個体群の生息地として世界的に重要であることが確認されています。1999年にカンボジアはラムサール条約の批准国になりましたが、これまでは以下の3ヶ所がラムサールサイトに指定されただけです。

  • Boeng Chhmarとそこにつながる河川系および氾濫原(サイト 997)
  • Koh Kapikと周辺の小島(サイト 998)
  • ストゥントレント州北部のメコン川中流域(サイト 999)

「プレック・トールのラムサールサイト認定により、世界的に重要なこの湿地に注目が集まるだけでなく、カンボジアでより多くの湿地がラムサールサイトに指定されるための架け橋になるでしょう。」とカンボジア環境大臣のSay Samalは言いました。

バードライフとカンボジア環境省淡水湿地保全局はより多くの湿地がラムサールサイトに指定されるように2008年から共同で活動して来ました。プレック・トアールはこの16年間で初めて認定されたラムサールサイトです。「生物多様性の価値に加えて、プレック・トアールIBA(重要生息環境)は周辺の水上の村の生計を支える魚などの生態系サービスを提供しており、私たちは今回の結果に喜んでいます。この湿地がラムサールサイトになったことによりこの素晴らしい場所は世界の関心を集めるでしょう。」とバードライフのカンボジア・プログラム・マネージャーのBou Vorsakは言いました。

資金支援は英国政府のダーウィン・イニシアティブ、日本の環境省の少額助成金、経団連自然保護基金、ラムサール事務局の少額助成金、WCSなどが行いました。

ラムサール条約批准国は‘世界的に重要な湿地リスト’に含めるべき湿地を少なくとも1ヶ所定め、その場所は生態学、植物学、動物学、陸水学あるいは水文学の観点から国際的な重要性を判断し締約国により選ばれることになっています。現在世界中に2,240ヶ所のラムサールサイトがあり、保全の目的で管理されている湿地のネットワークとしては世界最大の規模になっています。

 

報告者: Vorsak Bou

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