帆翔型猛禽類の渡りについて

猛禽類は飛翔のタイプにより二つのカテゴリーに分類できます。
写真提供: Christian Gelpke

猛禽類は狩猟鳥の捕食者として何100年もの間ヨーロッパや世界中の他の国々で迫害されてきました。けれども、ノスリ、ワシ類、ハヤブサ、ハゲワシなどを含む猛禽類は実際には生態系の健康状態をチェックするための重要な指標で(それ故、‘指標種’とも呼ばれます)、生態系のバランスを保つのです。

渡りの際の飛翔戦略により、猛禽類は2つのタイプに分類できます: 一つはほぼ常に羽ばたきを行い陸や水上を飛ぶタイプ(ハヤブサ類やハイタカ類などの小型で活動的な猛禽)、もう一つは上昇気流を利用して滑空を行い、エネルギーを節約するタイプ(ワシ類やノスリ類など大きく幅の広い翼を持つ猛禽)です。この第2のタイプの鳥が主として陸の上を飛翔するのは、水上では日中上昇気流が発生しないからです。また彼らはしばしば高山を避けて飛ばなければなりません。

これらの地形的特徴、特に地中海は、地域を2つの主要なルートに分け、場所によって‘ボトルネック’(注: 壜の口のように狭くなった地形)と呼ばれる渡り鳥の集中する場所を作ります。ボトルネックでの観察が、繁殖地では調査が困難な多くの猛禽の渡りの戦略、個体数とその動態に関する多くの知見を与えてくれました。

イスラエルのような幾つかの場所では数十年に亘り毎年定例の渡りカウントが行われ、そのデータは個体群崩壊(例えば殺虫剤DDTの使用に関連したもの)とそこからの復活の研究に利用することが出来ます。

多くの海域や山域があることから、ヨーロッパと中東にはこのようなボトルネックが数多く存在します。スエーデンのファルステルボ、スペインのジブラルタル海峡、フランスとスペインのピレネー山脈、ブルガリアのブルガス、トルコのボスポラスとイスケンデルンおよびイスラエルとエジプトの多くのサイトがボトルネックとなっています。最近ではジョージアのバトゥミでもボトルネックの場所が再発見されました。東ヨーロッパ、ロシアのヨーロッパ側、西シベリアから来てバトゥミを通過するコウノトリと猛禽類は毎日10万羽以上がカウントされ、シーズン合計では100万羽を越えます。

SABUKO(ジョージアの自然保護協会で同国のバードライフ・パートナー)がこのボトルネックを調査し、その価値への関心を高めるためにバトゥミ猛禽カウント(BRC)と協力して来ました。毎年約3万人の海外からのボランティがバトゥミに集まり、渡り性猛禽類のカウントに参加します。そこには地元の家族が運営するゲストハウスに宿泊する旅行客も数多く参加するようになっています。この活動が生み出す収入は村の住民全体全員を渡り鳥を殺さないように説得する上で重要な役割を果たしています。

このようなサクセスストーリーは殆どありません。密猟が依然として多くの渡りのホットスポットで重大な問題です。ボトルネック地点の幾つかの観察施設は渡り鳥の価値について一般の人たちの認識を高めるために非常に効果的に建てられています。

けれども、フライウェイ全体に沿った保護活動の規模を拡大するためのキャンペーンを組織する必要があります。渡り鳥の大切さについては学童が教育活動のための重要なターゲット・グループです。私たちは新しい世代が渡り鳥を殺すのではなく、保護することに重点的に取り組むよう、これまでとは異なる姿勢を示すようになることを確実に進めなければなりません。このようなイニシアティブはエコツーリズムを発展させることにより実行可能で、それは地元コミュニティに経済的機会を創出し、保護活動を維持するために必要な所得を生み出し、彼らに鳥を守ることへのインセンティブを与えるのです。

 

報告者: Brecht Verhelst

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