牧草地の景観と鳥を守るためのオランダ人10万人の請願

写真提供:(c) Martin Hierck

「牧草地の鳥とその環境を守るために私たちは今行動しなければなりません。そして、それには企業、農民、NGO、銀行、政府が共同で活動しなければならないのです。

これは去る2月にVBN(オランダのバードライフ・パートナー)の理事Fred Wputersが10万人のオランダ市民が署名した嘆願書を同国経済省の副大臣Dijksmaに提出した時に述べた言葉です。

この嘆願書はVBNが2013年に開始した‘豊かな牧草地を守ろう’キャンペーンの一部をなすものです。オグロシギ、タゲリ、アカアシシギ、ミヤコドリなど牧草地の鳥の減少は深刻です。1960年以来の数十年で上記のような牧草地のシギ・チドリ類の全てが60%以上オランダから姿を消してしまいました。

工場的農業が主な原因です。集中的に行われる草刈り、低い水位で行われる農作業、化学肥料の使用などがオグロシギなどオランダを代表する種が繁殖に成功することを事実上不可能にしたのです。種がそこに生き残るためには毎年少なくとも1万羽の雛が成鳥になることが必要ですが、2014年には僅か4,600羽の雛が生き残っただけでした。

これらの種を守るために‘豊かな牧草地を守ろう’キャンペーンは2020年までに20万ヘクタールの牧草地の復元を目指します。目標は牧草地の鳥が生き残れるような、花や昆虫や隠れ場所がある環境を作ることです。この面積はオランダの草地の総面積の5分の1に当たります。

VBNは牧草地の復元と保全を持続可能な方法で行うことを求めています。正当な価格が支払われれば酪農家は周辺の環境の手入れを行い、牧草地を健康で生き生きした状態に保つことが出来ます。この目標を念頭に置いてVBNは‘全国牧草地シンクタンク’を創設しました。ここにはオランダ最大の酪農企業Friesland CampinaやRabobankを始めWWFや研究機関が加わっています。

そのような可能性を紹介するためにVBNは2014年に酪農製品供給者と自然に優しい農家とパートナーを組み、自然に優しい方法で作った特別な‘豊かな牧草地を守ろう’チーズの生産を始めました。このチーズが1キログラム売れるごとに農家は土地を牧草地の鳥に適した環境に転換するために1ユーロを受け取るのです。この例は農家が自然に心を配りつつ利益の上がるビジネスを行うことが出来ることを証明するものです。

オランダの経済省副大臣のDijksmaと12の州の代表団は公式に「‘豊かな牧草地を守ろう’は大変期待が出来るイニシアティブです。」と述べています。副大臣はシンクタンク企画にも参加することを誓約して支援を示しました。

(報告者:バードライフ・ヨーロッパ)

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