ネパールの自然保護目標を達成するための支援

この新しいアプローチではネパール国内のIBAネットワークの
専門家を利用し、地元の知識と科学的知見を結びつけます。
写真提供:David Thomas; BirdLife

政策担当者は生態系サービス(綺麗な水や作物の受粉など自然が与えてくれる便益)に対して、その人々の生活への重要性を所与のものとして、益々注目度を高めています。証拠に基づく政策決定を支えるために、科学者はこの便益を効率的に測定するための方法を開発中です。それはどのサイトでも行うことが出来るやり方で、また地方や国の政策決定者に生態系サービスを管理し、彼らが保全目標の達成を助ける時に必要となる情報を提供する方法です。

バードライフの科学者チームがネパールで行った新しいアプローチは正にこれを実現する方法を示しました。

この研究はネパールのIBA(重要生息環境)が現在重要な種を支えるていることに加え、地域、国、世界レベルで人々に広範囲な便益を提供していることを示しています。しかしながら、この研究結果は、これら生態系サービスの多くが現在受けている圧力が続くなら今後の10年間に減少することを示唆しています。このようなことが起きる理由は、種や生息地に影響を与える土地利用方法の変化と同様な変化が現在これらのサイトが提供している生態系サービスにも変化をもたらすからです。

このアプローチではネパールのIBAネットワーク全体からの専門家を利用し、地域の知識と科学的知見を統合して現在の土地利用の変化の圧力が生態系サービスに及ぼす影響を理解するものです。

自然に収穫できる食料、薬品、原材料は、観光やレクリエーション、気候を制御する森林からの便益と同様多くのサイトで重要なものであると考えられました。当然、水の供給はほぼすべてのサイトで重要なものにランクされました。土地利用の変化により悪化した気象条件の変化は川の流れに影響を与えた可能性がありますが、ネパールの河川の年間平均の流量の50%が雪や氷河の融解によるからです。

地域、国内、地球レベルでの影響により相当数のサイトで生態系サービスが下がっていると予測され、生態系サービス全体が、脅威を受けていると報告されました。この研究は全般的に見てこれらのIBAに依存している地域住民がこの変化による最大の被害者になることを示しました。

「この研究は生態系サービスの均衡がどのように影響を受けるか、またそれが異なるグループの人々に異なる形でどのように影響するかを示すために新規に開発されたツール、TESSAの実用性を初めて示したものです。」とバードライフの科学部ヘッドのスチュアート・バッチャート博士は論評しました。

「私たちの新しいやり方は、複数のサイトのアセスメントは地元の人々が関与することにより短期間に比較的低コストで出来ることを意味しています。このアプローチは意味のある結果を出すために参加型の方法が増えていることと、参加した住民の関心と能力が開発されることを反映しています。」とバードライフの生態系サービス担当のJenny Birchは言いました。

この研究によるデータはネパール鳥類保護協会(ネパールのパートナー)が改訂版‘ネパール生物多様性戦略・行動計画’の討議に最初から加わり、2020年までに生物多様性の状態を改善するという同国の誓約に積極的に貢献することを可能にしました。

報告者:マーチン・フォーリー

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