海鳥を守り、女性の立場を強化: ‘アホウドリ・タスクフォース’が勢いを得た

バードライフの‘アホウドリ・タスクフォース’は南アフリカでの大規模な漁業によるアホウドリ類の死を99%減らしたという活動が最近認められました。この活動を推進する国々が国境を超えて海鳥を保護するためにナミビアに集まりました。今回は公式な表彰ではなく、‘アホウドリ・タスクフォース’のインストラクターが誇りに思う行動を取った地元の人々個人の表彰です。

ナムビアの海域だけで毎年3万羽以上の海鳥が延縄漁やトロール漁により溺死しており、これらの漁法は世界で最も破壊的なものです。私たちは簡単な解決方法を考案し、それにより表彰されました。それは‘トリポール’(注: 鳥が驚き餌に近づかないようにするため、吹き流しを付けた装置)などのちょっとした装置で鳥を脅し、死から遠ざけるテクニックです。現在ナミビアで漁師は自発的に漁船に‘トリポール’を付けて使っていますが、これは私たちのナミビアにおける‘アホウドリ・タスクフォース’の活動を認めた証です。

私たちが南アフリカで見て来たように、これはほぼ完ぺきに海鳥の事故死を防げるという信じがたいニュースであるだけでなく、ウォルビス湾地域に住んでいる地元のナミビア人女性にとっても大きなニュースなのです。彼女たちの手作りの‘トリポール’が漁業者に販売され、収入が得られるようになり、また、それはコミュニティ内での男女平等を進めるのです。

海鳥を守る力と人々を惹きつける役割

‘アホウドリ・タスクフォース’のインストラクターが何時間漁船に乗り、これらの解決方法をテストしたり見つけたりしているか考えてみてください。主な関心事が乗組員の安全と狙った魚の漁獲高を上げることにある船長とインストラクターとのやり取りを考えてみてください。正しい科学的証拠に基づいて漁業者に海鳥を守るための事故死軽減対策を伝える彼らの教育活動について考えてください。海鳥を危険に近づけないために最初にやらなければならないのは、この問題に多くの人々の関心を惹きつけるために多大な時間を使うことなのです。

ですからナミビアの漁師に自発的に‘トリポール’を使うようにさせるためのこの努力は巨大です。それは針に掛かってしまった1羽の鳥は、1匹の獲物が少なくなった可能性を示すことを漁師が学んだことを意味します。またそれは彼らが持続可能証明書の受賞で漁法改善をしていることを意味します(私たちは海鳥の混獲を減らしたことを証明して彼らを助けます)。更に、それは海が荒れている時でも彼らがアホウドリのことを考えていることを意味します。

「これは海鳥保護のための機運の大きな前進を表すもので、それが全て‘アホウドリ・タスクフォース’の努力によるものであるという事実は本当に励みになります。」と‘アホウドリ・タスクフォース’のコーディネーターOliver Yatesは言いました。

合計13隻のトロール船(ナミビアのトロール船の15%)と3隻の底引き網漁船(全体の25%)が船上で使うために‘トリポール’を自発的に購入しました。ルシル&パッカード基金プロジェクトの

資金支援により、アホウドリの届かない所に素早く釣り針を沈めるスチールの錘が現在延縄漁船団のために作られています。

「自発的に実行がされているのです!」とOliverは言いました。 

「軽減活動を漁船上で行うことの実現という観点からはまだ長い道のりがありますが、多くのハードワークが既に行われているのです。」

海鳥を守る活動は同時に女性に力を与えています。

ウォルビス湾(ナムビア)で販売の準備のできた手作りの’トリポール’を誇らしげに見せる地元グループ‘Meme Itumbapo’の女性たち

ウォルビス湾(ナムビア)で販売の準備のできた手作りの’トリポール’を誇らしげに見せる地元グループ‘Meme Itumbapo’の女性たち

今年の初めにナミビアの‘アホウドリ・タスクフォース’はウォルビス湾の地元の女性の地位向上運動グループと共同で同国の延縄およびトロール漁船のために‘トリポール’を作り、供給するプロジェクトを立ち上げました。現在5人の女性が参加している地元のMeme Itumbapoと呼ばれるグループはナミビアの漁船団の使う‘トリポール’の10%を既に生産しましたが、これまでの彼女たちの収入は貝殻で作ったジュエリーの販売によるものだけでした。

‘アホウドリ・タスクフォース’による訓練と、設備や材料の供給とナムポート社会投資基金からの2万英ポンドの支援の発表を受けて、このプロジェクトは正式な教育も受けず、雇用機会も限られているMeme Itumbapoの女性たちに機会を生むでしょう。彼女たちの手作りで、品質保証され、地元で作られ、手ごろな価格の‘トリポール’は今後2年間のうちにますます多くのナミビアの漁船の後方に翻るでしょう。

‘トリポール’は鳥が釣り針や網に掛かるのを防ぐだけでなく、ナミビアのために生物多少性を守るビジョン、地元経済の強化、更には男女の平等の旗印にもなるのです。

ナミビアでの勢い

‘アホウドリ・タスクフォース’が行っている海でのデモンストレーションと教育活動は単に地元の漁師に向けたものではありません。私たちは新しい規制を作るために政府や水産業界へのロビー活動も行って居ます。

緩和策の技術的ガイドラインを含む、私たちが原案作成を手伝った新しい漁業許可条件は‘漁業永久事務局(Permanent Secretary for Fisheries)’により署名されました。そして、来月ナミビアの漁業・海洋資源省は‘海鳥のための国家活動計画’を討議し、緩和対策の実行にバードライフがどのように支援が出来るかを検討するために私たちと会合を行います。

「私たちはこの会合で前向きな結果が出ることに自信を持っており、全ての漁船に緩和対策が広がるよう漁船団と一緒に活動することに期待しています。」とOliverは言いました。‘アホウドリ・タスクフォース’のインストラクターたちが再び海に向かって出掛けるにあたり自信を持って笑顔を見せているのはもっともなことなのです。

(報告者:ショーン・ハレル)

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