発表:湿原の王、ハハシビロコウの保護計画

ハシビロコウ
写真提供:Paul Kariuki Ndang'ang'a

ハシビロコウ保護のためのInternational Single Species Action Plan (ISSAP: 国際単一種行動計画)が入手可能になりました。この計画の主目的はハシビロコウの個体数を増やし、現在の生息域を維持することです。

ハシビロコウは大型でユニークな水鳥で、その生息地は熱帯中央アフリカ東部の、淡水性湿地が多数ある場所に限られています。この鳥は草や葦やパピルスの繁る大きな淡水性湿地を好み、このことから‘湿原の王’という名を好んで使う人もいます。ハシビロコウはこのような生息環境に分断されて分布しており、生息数は推定5,000~8,000羽程度しか居ない状態です。本種は幾つかの地域で明らかに減少しているため、IUCNのレッド・リストで絶滅危惧Ⅱ類に分類されています。また、北は南スーダンとエチオピア、南はザンビア北部にかけて生息しています。南スーダン、エチオピア北部、ウガンダ、ルワンダ、コンゴ共和国東部、タンザニア西部、ザンビア北部に留鳥として分布し、中央アフリカ共和国、ブルンジおよびケニアでも記録されています。

 ハシビロコウは現在様々な脅威に直面しています。その繁殖の成否は環境に対する人間が原因の要因、例えば、家畜や人による攪乱、火事による巣や繁殖地の破壊、生息地の改変や劣化などにより大きな影響を受けています。スッド(南スーダン)での石油採掘、ガンベーラ(エチオピア)での農業開発も本種の生息地に大きな影響を与えています。また、不法な野鳥取引による脅威も大きく、これには捕獲時、輸送時および一時的飼育下での高い死亡率が伴います。更に、異なるサイトでの個体数やその傾向、移動の状況、繁殖および採餌に必要な要件、本種の売買に関する最新情報など、ハシビロコウについての大きな知識の不足があるのです。

今回の計画に含まれている行動には次のような提案があります: 売買禁止の継続、監視強化と特に火事に関しての注意の喚起; 主要な繁殖地での家畜の制限; 石油や他の開発行為に対しての適切なEIA(環境アセスメント)の実施; ハシビロコウの生息地の管理計画の策定; 特にエコツアー・イニシアティブによるハシビロコウとその生息地からコミュニティが利益を得られるような持続可能な湿地を基盤とするコミュニティ事業の推進、などです。重要な知識の不足を埋めるための調査も計画されています。

 この計画の策定はUNEP/AEWA(国連環境プログラム/アフリカーユーラシア水鳥条約)事務局からネーチャー・ウガンダ(ウガンダのパートナー)に委託され、FOEN(スイス連邦環境局)からの資金支援を受けました。その策定作業は2012年10月のウガンダ観光、野生生物、遺跡省の主催によるワークショップで始まりましたが、このワークショップには政府代表者とハシビロコウの主要な生息地からの専門家が出席しました。計画策定にあたっては特に4か国のバードライフのパートナーNGOとバードライフ・アフリカ・パートナーシップ事務局のスタッフからも情報提供がありました。

(報告者:ナイロビ在住ボランティア)

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