渡り鳥への懸念が国際的な反応を促した

エジプトの沿岸で広く行われているカスミ網使用の増加は憂慮すべきことです。
写真提供:H Schulz

ここ数ヶ月の間に北アフリカで行われている無差別で持続可能性のない渡り鳥の殺戮が多くの国で一般の関心を呼ぶようになってきました。エジプトとリビアでは、特に地中海に沿った広範囲の海岸でカスミ網を使っての渡り鳥の狩猟や罠猟が行われていました。それに答えて、バードライフ・パートナーシップを始めとして政府当局、CMS(移動性野生動物種の保全に関する条約)、アフリカ・ユーラシア渡り性水鳥保護協定などがこの問題に取り組むために緊急に行動を取っています。

「これらの国で行われている鳥の罠猟は昔からの伝統です。主な対象種であるヨーロッパウズラは地域でのご馳走なのです。」とバードライフのフライウェイの上級プログラムマネージャーのMarcus Kohlerは言いました。

「これは地元の人々にとっては食べ物を補う上で合法とされています。ところが、無差別という特性と罠猟のスケールが今や懸念すべき状況に達し、ウズラ以外の種に影響を及ぼすようになっています。」

捕まるのはウズラだけではありません。コキジバトやセアカモズなど多くの他の種も非常に多くの数が‘混獲’されています。カスミ網の使用とその規模の増加が今や新しく、憂慮すべき展開になっているのです。

現在の推定では毎秋、数百万羽の渡り鳥がヨーロッパとアジアから越冬地のサハラ砂漠以南のアフリカへ向かう途中で捕えられています。

「ウズラそのものは絶滅危惧種ではありませんが、カスミ網問題が今地方でも国際社会でも大きな問題になって来たのは無差別な捕獲あるいは持続可能でない罠猟という要因があるからで、そこには‘混獲’の問題があり、時により‘混獲’される鳥に絶滅危惧種が含まれることがあるからなのです。」とバードライフのエジプトのパートナーのNoor Noorは言いました。

 

これに答えて、エジプトとリビアの政府および非政府部門からの参加者を含む、多くの主要な個人と団体が一堂に会する会議が行われました。この会議は先週ドイツのボンで開催され、バードライフ・パートナーシップ、NABU(ドイツのパートナー)、RSPB(英国のパートナー)、ネーチャー・コンサベーション・エジプト(エジプトのパートナー)及びCMSとAEWA(アフリカ・ユーラシア水鳥協定)の事務局の代表らが出席しました。

この会議では問題の規模と影響に対するしっかりとした対策を取ることと、鳥の罠猟の社会・経済および法律的な面を検討するための詳細な行動計画について合意をしました。

「バードライフ・パートナーシップはフライウェイ・プログラムを通じて多くの国で密猟や持続可能でない狩猟の問題に取り組んでいます。今回合意された計画は私たちの知識のギャップを埋め、ウズラ猟の必要性は尊重しつつ、罠猟の問題に取り組むのに必要なスキルと理解をエジプトとリビアの当局が有していることを確認して私たちと共に活動することを可能にするでしょう。」とKohlerは言いました。

同時に、効果的な法律や規制が整備され、地域内での無差別な罠猟に効果的に対処するため地方自治体、NGO、地域コミュニティの能力構築を行いながら適切にこれらの法規制が執行される必要性があることが合意されました。

「密猟と持続可能でない鳥の狩猟はバードライフ・パートナーシップが取り組みを約束している世界的な問題です。過去20年の間に幾つかの国では大きな励みになる改善がありましたが、一方で、その他の多くの国ではこの増え続ける持続可能でない行動への対処をステップアップしなければなりません。エジプトとリビアの政府が約束をしたことは励みになります。バードライフ・パートナーシップは彼らの努力を支援することを約束します。」とバードライフ・インターナショナルの事務局長マルコ・ランバーティニ博士は言いました。

(報告者:Martin Fowlie)

 

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