スーダン政府が‘キラー電線’について決定した

エジプトハゲワシ
写真提供: www.dereliev-photography.com - Sergey Dereliev

バードライフ・インターナショナルと国連開発プログラム(UNDP)による渡り性帆翔鳥(MSB)プロジェクトのワークショップにおいて、ポート・スーダンの‘キラー電線’(キラーは鳥を殺すという意味)と呼ばれる大型の渡り鳥にとってアフリカで最も危険な電線を変えることがスーダン政府に促されました。

In particular the 31-km long power line is estimated to have killed hundreds and perhaps thousands of Egyptian Vultures Neophron percnopterus since it was constructed in the 1950s. The most recent survey found, during the month of September alone, the carcasses of 17 Egyptian vultures along the power line. All the carcasses were found under power poles, 15 under metal poles and two under concrete poles, making electrocution the most likely cause of death.

特に長さ31kmに及ぶこの電線は1950年代に建設されて以来、数百羽あるいは数千羽のエジプトハゲワシを殺したと推定されています。直近の調査でも9月だけで17羽のエジプトハゲワシの死骸が電線に沿って見つかっています。17羽全ての死骸が電柱の下で見つかっており、15羽が金属製電柱、2羽がコンクリート電柱の下にあり、感電による死が最も可能性のある原因です。

2013年3月のワークショップは、MSBプロジェクトが資金を提供し、このプロジェクトの地元のNGOであるスーダン野生生物協会(SWS)が開催しました。開会式はスーダンの送電会社のオフィスで行われ、参加者には送電企業の社長や上級技術者、スーダン配電企業の役員、観光・野生生物省の次長、野生生物保護総務局の局長などが含まれました。

SWS会長のイブラヒム・ハシム教授は特にポート・スーダンの‘キラー電線’を強調して電線の渡り性帆翔鳥への影響についてのプレゼンテーションを行いました。続いて彼は鳥に配慮した電線の開発についてのMSBプロジェクトのガイダンス資料を紹介しました。

「著名な話し手からの反応は前向きでした。全員がキラー電線問題を解決することの重要性を強調しました。電気会社の役員はキラー電線の鳥への影響と感電死による電力のロスを強調し、この問題を解決することを約束しました。」とイブラヒム・ハシムは言いました。

新しい電線は既存の電線と並行して並びます。510本の新しい電柱は絶縁アルミニウム導体のXLPE(ケーブルの1種)になります。この作業は2ヶ月掛かり、それが終わればキラー電線は取り去られます。

「私は電気会社が新しい絶縁電線を開発し、間もなく出来上がると聞いて驚くと同時に喜んでいます。」とハシム教授は言いました。「私たちは電気会社役員が約束を果たしてくれることに感謝します。これは紅海地域における渡り性帆翔鳥の保護にとって重要なことなのです。」MSBプロジェクトでは新しい電線の進展をフォローアップし報告する予定です。

近くにゴミ捨て場、牧畜農家、畜殺場などがあるために、電線の周辺地域は以前からエジプトハゲワシの渡りの中継地あるいは越冬地になっていました。ただし、その数は近年では非常に少なくなっています。‘28年に亘る東アフリカでのエジプトハゲワシの永続的感電死’の論文の中で、ハシム博士とブルガリア鳥類保護協会(ブルガリアのパートナー)、RSPB(王立鳥類保護協会: 英国のパートナー)は「この電線が中東におけるエジプトハゲワシの個体数減少の理由の一部を説明し、多くのハゲワシの死の原因だったのでしょう。」と示唆しています。

In 2007 the BirdLife/IUCN Red List status of the Egyptian Vulture was raised from Least Concern to Endangered as a consequence of widespread population declines.

2007年にバードライフ/IUCNのレッドリストでエジプトハゲワシは広範囲での個体数減少により‘軽度懸念’から‘絶滅危惧ⅠB類’に格上げになりました。

バードライフ・インターナショナルの事務局長マルコ・ランバーティニ博士はこの決定を歓迎しています。「これは証拠に基づく科学が如何に政府、企業、市民社会が共同で生物多様性の喪失原因と取り組む際の助けになることを示す素晴らしい例です。バードライフ・パートナーシップはスーダン政府と同国の電気会社の約束に敬意を表し、‘キラー電線’が鳥に優しい新しい絶縁電線に代る日を待ち望んでいます。」

 

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