バードライフと欧州野鳥調査評議会が野生生物の復活研究に加わった

オジロワシ
写真提供:Staffan Widstrand / Wild Wonders of Europe

バードライフ・インターナショナルと欧州野鳥調査評議会(EBCC)が欧州おける野鳥種の復活を立証するための机上研究に加わりました。

2011年にロンドン動物学協会(ZSL)はRewilding Europe(Rewildingは再野生化の意味)に委託されて野生生物の復活研究に着手しました。この研究には主として欧州大陸の異なる地理学上の地域や環境に生息する象徴的な動物と鳥が含まれています。この研究の主目的は欧州でかなりの復活を見せている野生生物種の1960年~2010年における存在度と分布の変化についての科学的基盤による概観を作ることです。この研究では種のレベルと統合的な方法の両方で、これらの変化を起こした原動力への理解を高めるでしょう。これは将来の保護活動に重要な教訓となり、これらの成功事例を他の種でも結果を出す助けになるでしょう。

2012年版‘生きている地球報告’によれば、1970年~2008年に旧北区地域では動物の個体数が平均6%増加し(ほとんどは欧州からのデータを含む)、熱帯地域の全体的な生物多様性指数の減少と対照的でした。より良い環境保全が貢献要因の一つですが、耕作地の放棄、狩猟圧力の低下、人の活動からのより高い栄養分の投入による生態系の生産性増加(例: 湖沼や沿岸地域の富栄養化や大気からの窒素堆積など)による最近の土地利用の変化が恐らく重要な役割を果たしているでしょう。Rewilding Europeは野生生物の復活をどのように維持するか、更に促進するか、また、欧州全体で再野生化イニシアティブに使うかに特に関心を持っています。生態学的に重要な役割とは別に、多くの種が欧州の生態系の中で役割を果たしており、経済的価値も持っています(例: 欧州の多くの地で新しい機会を提供する野生生物をベースにした観光業など)。また野生生物の復活は、個体数が自然の密度と自然の動態に達することを可能にする管理の面でも新たな課題を生みます。

欧州での野生生物の復活は特に哺乳類と鳥類の種の長いリストを含んでいます。今日の欧州には恐らく数十年或は数世紀前よりも、ノロジカ、ヘラジカ、イノシシ、シャモア、アイベックス、シュバシコウ、カオジロガン、クロヅル、オジロワシなど若干の種の個体数は多いでしょう。積極的な保護と再導入(放獣と放鳥)により、ビーバー、カワウソ、ワシミミヅク、ハヤブサ、ヒゲハゲワシ、クロハゲワシなども恩恵を受けています。長期的な見込みはまだ不明ですが、スペインオオヤマネコでさえ最悪の状態から復活をし始めたのです。

18種の哺乳類についての最初の草案文書がZSLにより作成され、欧州全体からの種ごとの専門家により論文審査が行われています。バードライフとEBCCは過去40~50年の間にかなりの復活を果たしたおよそ20種の鳥についての記述と解析を行うためにデータの統合を行っています。

野生生物復活研究は2013年9月末にロンドンでのセミナーで発表される画期的な報告になるでしょう。研究成果は10月4日にスペインのサラマンカで開催される第10回世界ウィルダネス会議でも発表される予定です。

 

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