保全、地域社会の利益と新しいラムサールサイト:西部マダガスカルの保全活動の10年

湿地は、マダガスカルの人々にとって重要な資源
写真提供:Marc Rabenandrasana; BirdLife

マダガスカルは、最近ラムサール条約登録湿地(国際的に重要な湿地)としてキンコニー湖を指定しています。

キンコニー湖は、バードライフ・パートナーのアシティ・マダガスカルが過去10年間に亘り重要な保全活動を行ってきた西部マダガスカルのマハバビ川-キンコニー湖コンプレックス(複合体)の新たな保護地域内に位置する恒久的な淡水湖です。 このサイトが生態、経済、文化、科学、湖や湿地の娯楽面での重要性などにより国際的な認識を得てラムサール・サイトとして指定されたことは非常に重要な成果です。

マハバビ川-キンコニー湖コンプレックスは沼地、河川、湖沼、沿岸域、マングローブ、ヤシのサバンナ、乾燥した森林および洞窟で構成されています。 このサイトは、絶滅危惧ⅠA類のマダガスカルウミワシ絶滅危惧ⅠB類のマダガスカルクロクイナ 、マダガスカルサギマダガスカルアカガシラサギ 、マダガスカルクロトキおよび絶滅危惧Ⅱ類のマダガスカルチドリなど数多くの絶滅危惧種の生息地で、鳥以外にも絶滅危惧固有種の魚も生息しています。サイトはまた、漁業、狩猟、農業のためにマダガスカルの人々に非常に重要です。

しかし、湿地 の野生生物は乱獲、生息地の喪失と土地の沈降に脅かされています。森林地域も、違法な木材の伐採や持続不可能な移動農業(焼き畑のように耕地を次々に変える農法)の影響を受けています。

2007年には、マハバビ川-キンコニー湖コンプレックスはマダガスカル政府により一時的な保護状態を受けました。 現在、管理計画が進められています。地元のコミュニティをベースとした組織が漁業と農業活動を規制し、持続可能な管理を確保し、コンプレックスの資源と生物多様性を保全するなどの活動を行っています。 ラムサール条約の指定は、国の湿地保全に対するコミットメントのさらなるデモンストレーションなのです。

キンコニー湖の資源をコミュニティをベースとして管理することは、それらを保護し、持続可能な利用の恩恵を受けるための能力を開発するために地元の人々を強化することによる、アシティ・マダガスカルによる天然資源保全の成功例です。一時的な保護が付与されたので、このことがいろいろな団体・組織からの貴重な支援のお陰で可能となりました。

マダガスカルの国内法は、地方自治体が天然資源の管理を制御する権利を取得することを可能にし、天然資源に依存する地元の人々の継続的な利益を確保します。 これらの自治体が権利を主張することを支援し、彼らを強化することがアシティ・マダガスカルの主要な保全戦略の一つです。 地元の人々や当局によって開発され、実施されているディナと呼ばれる現地の法律は、保全と資源管理のためのコミュニティの強化プロセスを達成します。

アシティ・マダガスカルのコーディネーターVony Raminoarisoaは、「地域社会は、常にその環境の豊かさを知っていますが、異なる利害関係者間の相互信頼と緊密な連携は、天然資源に人口の大部分が依存しているマダガスカルのような国では自然保護に成功することの基盤になるのです。」と言いました。

最後に、現在の天然資源の使用率は持続不可能な水準であるため、小額所得創出プロジェクトが代替案を提供し、地域社会の自立を強化するために開発されています。このような活動には、持続可能な漁業、観光、米や蜂蜜の生産が含まれています。 環境負荷の少ない観光のためのインフラ整備とともに、家畜飼育や養蜂活動がすでに実施されています。

 

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