海鳥を救うために、彼らを追跡してみましょう

ワタリアホウドリ 写真提供: © Dmytro Pylypenko/Shutterstock

最新の研究で科学者たちは過去20年にわたる52種の海鳥の追跡データを、海鳥を守る最善策を知る手がかりとして利用しました。

ゆっくりと、滑るように飛び、ワタリアホウドリは巣を目指します。

彼女は餌を求めて海上を3日間飛び続けています。巣から1,000㎞も離れた場所で、イカや小魚でおなかをいっぱいに満たして、今連れ合いが卵を温めて待っている南大西洋極地の島、サウス・ジョージアへ戻るところです。

年の後半にはシェトランド諸島沖でニシツノメドリが孵ったばかりの雛のために口いっぱいにイカナゴを掴んで巣穴に戻ります。けれども彼は餌を求めてアホウドリほど遠くまでは行かず、せいぜい巣からおよそ37㎞までの範囲を動きます。

ワタリアホウドリニシツノメドリでは見た目も行動もかなり違うように思えますが、実際には多くの共通点があります。彼らはどちらも沿岸地域で繁殖します。どちらも生活のかなりの期間を餌を求めて外洋で暮らします。そしてどちらも絶滅危惧ⅠB類よりも一つだけ下のカテゴリー、絶滅危惧Ⅱ類なのです。

これは鳥の中で最も絶滅が危惧される海鳥に共通の問題です。360種の海鳥のうち、およそ半分の47%が個体数の減少に見舞われています。そのうちの31%は世界的な絶滅危惧種です。けれども彼らが長時間を洋上で過ごし、種によって異なるエリアを行き交うため、多くの種の動向や保護する最善の方法を正確に知るのは困難です。

「海鳥は様々な脅威、重油による海洋汚染、魚の乱獲、混獲(海鳥が偶発的に漁具にかかってしまうこと)などに直面しています。これらの脅威から海鳥を保護するためには、彼らがどこに行くのか知ることが重要です。その行き先が私たちが保全すべき重要なエリアだからです。」とバードライフの海洋科学オフィサーのMaria Diasは言いました。

この新しい研究から科学者は多くのことを学びました。この研究では1998年から2017年の間に52種の海鳥を追跡して、繁殖期に彼らが餌を求めてどれ程の距離まで飛んでいくのかを調べました。鳥が訪れたエリア、群で過ごしたか、単独だったか、どのくらいの期間海に出ていたかなどが分かってきました。

この情報は追跡調査により得ることができました。鳥の位置情報を常時伝える小型の追跡装置は鳥が海洋のどれ程遠くまで行っているか、どこで採餌をしているか、どこで繁殖しているかを知らせます。これまでは長い間小型の鳥に追跡装置を装着することが出来ませんでした。科学者がデータを集めることが出来るようになったのはごく最近のことなのです。

‘IGotU’追跡装置を鳥に装着する保護活動家

「追跡装置の重さは鳥の体重の3%以下でなければなりません。考慮すべきは追跡装置の重さで、それが鳥の行動や健康に与える影響です。当初は小型の鳥を追跡するのに丁度よい大きさの追跡装置を作ることが出来ませんでした。技術が進歩したことで追跡装置はどんどん小型化しました。」と国際海洋プロジェクトマネジャーのStephanie Winnardは言いました。

技術の進歩に伴い、26gの小型のヒメウミツバメから7㎏の巨大なワタリアホウドリまで様々な大きさの鳥を追跡調査することが可能になりました。これにより科学者らは初めて多種の採餌行動を比較できるようになったのです。

「この研究によって示されたのは、それまで私たちが‘コロニーの周辺エリア’と大雑把に考えていた範囲は実際には海鳥の種によって全く異なるということでした。例えば、ペンギンはコロニー周辺の僅か30‐50㎞を探索するのに対してアホウドリは繁殖期には餌を探して数千kmを簡単に旅します。」とDiasは言いました。

この研究の結果、科学者は海鳥の種ごとに最善の保護策を提案出来るようになるでしょう。例えば、比較的小さな半径内で採餌するウやウミスズメ類には特定の海域を保全する海洋保護区を指定することが彼らの食物源を保全するための素晴らしい方法になることが示されました。けれども、行動範囲がとても広いアホウドリ類などに対しての対策は、多方面に適用すべきでしょう。例えば、混獲を緩和するために漁業関係者と共働で活動することなどが効果的です。

報告者: Margaret Sessa-Hawkins

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