世界の希少な鳥を救った10の方法

保護活動がなければ絶滅したと思われる鳥の1種、パタゴニアカイツブリ。 写真提供: © Juan María Raggio

10年前バードライフは、人間活動による鳥の絶滅を防ぐプログラムを立ち上げました。以下にその成功事例をご紹介します。

2008年の世界会議でバードライフは、全パートナーの種の保護活動をまとめた「絶滅阻止プログラム」を立ち上げました。その基本原理は単純です。「バードライフは一点の曇りもなく、人間活動による鳥の絶滅が続くことに耐えられません。残念ながら絶滅は起きるでしょうが、私たちはそれが避けがたいことだと認めることはできず、また、容認しません。私たちは直接的または提言を通して、行動を取ります。」とバードライフのグローバル・マーケティング・マネジャーのJim Lawrenceは言いました。バードライフの科学による根拠は、資金を提供する「種の保護者」や地域の「種の監視者」(多くの場合バードライフ・パートナー)の活動により支えられ、このプログラムは多くの絶滅危惧ⅠA類を含む少なくとも483種の絶滅危惧種を救いました。これは選ぶべき強力なリストですが、このプログラムのこれまでで最大のサクセス・ストーリーは何でしょうか?

 

1.わずか19羽からの復活

タヒチヒタキ
写真提供: © Caroline Blanvillain

陸地に関しては太平洋地域ほど多くの鳥が絶滅に瀕している場所はありません。多くの種が小さな島で進化し、捕食者や競争者がいない状態で繁栄して来ました。そして人間がやって来て外来の動植物を持ち込み、壊滅的な結果を招きました。20年前、タヒチにはたった19羽のタヒチヒタキがいただけでした。これら最後の生存者は何と9種もの外来種と戦わなければなりませんでした。SOP Manu(仏領ポリネシアのパートナー)がネコ、九官鳥、ネズミ、アリなど様々な捕食者を抑制してタヒチヒタキを文字通り敗北の危機から救ったのです。2017年には70羽が記録され、次はこのような捕食者のいない他の島へ鳥を移す段階になりました。

 

2.新しい繁殖地を見つける

ホオアカトキ
写真提供: © Dfaulder/Flickr

かつて古代エジプトの王族と一緒に死後の世界へ行くためにミイラ化された特別な鳥は、現代の支持者から欧州の王族にカウントされるべきだと思われているようです。ZEISS社と共に、モナコのAlbert 2世大公はホオアカトキの「種の保護者」です。かつては地中海地域全域に生息していた本種は、現在は野生状態ではモロッコだけで繁殖し、絶滅危惧ⅠA類とされています。しかし、GREPOM(モロッコのパートナー)の支援を得た20年におよぶコロニーの保全活動により、モロッコでの個体数は1997年の59ペアから2016年には600羽に増加しました。さらに良い事には、去年2ヶ所の新しいサイトでも繁殖しました。

 

3.昨日の敵は今日の友

アカアシチョウゲンボウ
写真提供: © Thangam Velusamy

2012年におよそ10万羽の渡りの途中のアカアシチョウゲンボウが、インドのナガランド州で罠で捕獲され食料として殺されました。ただちに拡散したこの殺戮の様子を映したビデオにより警告を受けたボンベイ自然史協会(BNHS:インドのパートナー)は緊急対応を組織化して行い、直ちにわな猟師たちは逮捕され、カスミ網が壊されました。次にBNHSは地元住民の意識を変えるための参画プログラムを立ち上げました。ナガランドの州知事は、アカアシチョウゲンボウを「尊敬すべきゲスト」と呼びました。5年間の保護活動の結果、百万羽のアカアシチョウゲンボウの安全な通り道が再び確保されました。2012年以降この場所では、1羽のハヤブサ属も殺された記録がありません。代わりに、渡り途中の鳥は目の保養になっています。

 

4.島の鳥を救う

モーリシャスベニノジコ
写真提供: © ysmad

インド洋の二つの島嶼国が、献身的な活動がいかに世界で最も希少な鳥の運命を好転させることができるかについて見事に説明しています。モーリシャス野生生物基金(同国のパートナー)のおかげで、モーリシャスチョウゲンボウの伝説的な救出が他の種を救うモデルとして利用されています。それにはモ-リシャスホンセイインコロドリゲスヤブセンニュウモーリシャスベニノジコ(写真)、ロドリゲスノジコなどの2008年以後に続く個体数増加が含まれます。セーシェルではネーチャー・セーシェル(同国のパートナー)による革新的な保護活動による同様の復活が数種で見られています。特に際立つのはちょうど50年前には最下位の50羽だったセーシェルヤブセンニュウの驚くべき復活で、本種は2015年に準絶滅危惧種に再分類されました。

 

5.絶滅したと考えられていた種が復活

ヒガシシナアジサシ
写真提供: © Yunkyoung Lee

2001年を迎えた当時、ヒガシシナアジサシは長い間絶滅したと思われていました。その15年後、バードライフを含む保護活動家がデコイやアジサシの声を録音した音響システムを使って彼らを中国東部のTiedun Dao島に呼び込んだ結果、16羽の雛がコロニーで生まれたのです。2016年にはバラン・インドネシア(同国のパートナー)がインドネシア東部の新しい越冬地を確認しました。2017年に状況はさらに好転し、韓国での繁殖が確認され、バードライフは同国政府の新しい営巣地の保全活動を支援しています。ヒガシシナアジサシは絶滅危惧ⅠA類ではあるものの、少なくとも絶滅種のリスト入りからは免れました。

 

6.100年以上行方が知れなかった鳥の避難場所を作る

バラノドズキンフウキンチョウ
写真提供: © Ciro Albano

Roger Safford(バードライフの「種の絶滅阻止プログラム」上級マネージャー)は、保護活動の成功には、「絶滅危惧ⅠA類の種が生息している森林が十分な広さがあり、適切に保全、管理が行われているなら、その鳥は生き残るはず」というシンプルなコンセプトが必要であると示唆しています。バラノドズキンフウキンチョウは、Rogerの主張を裏付けます。この魅力的なブラジルの固有種は、1998年に再発見されるまで120年間も謎の鳥でした。おそらく50羽程度が生き残っており、その全てがEspírito Santoの大西洋岸に残る森林に生息していました。バードライフの「種の保護者」 Urs-Peter Stäubleの支援のおかげで、SAVE Brasil(ブラジルのパートナー)はブラジルの大手企業Grupo Águia Brancaが1,688ヘクタールの民間保護区を創設する手助けを行うことができました。本活動は、本種の生息が知られているもう一つの場所の保全のためにも続けられています。

 

7.14か国を渡る渡り鳥を支援

マミジロゲリ
写真提供: © Oleg Kashkarov

「プログラムが成功する理由の一つは、バードライフ・パートナーシップによる多くの人々の力です。」とLawrenceは言います。これは特にマミジロゲリのような広範囲の渡りをする鳥で明らかです。本種はロシアとカザフスタンで繁殖し、北アフリカ、中東、南アジアで越冬するために14の国を渡ります。「種の保護者」Swarovski Optik社の支援を得て、バードライフ・パートナーが人工衛星追跡プロジェクトを共同で行い、知られていなかった越冬地を明らかにし、渡りのルート沿いの重要な中継地を正確に示しました。「ある場所では3,200羽のマミジロゲリの群を発見しました。これは世界中の個体数予測よりも多い数でした!」とLawrenceは言っています。

 

8.保護活動のための情報拡散

パタゴニアカイツブリ
写真提供: © Juan Maria Raggio

2008年にアルゼンチンで開催されたバードライフの世界会議でこのプログラムが開始された時、会場の廊下はこの目立つ固有の水鳥の危機的状況に対し懸念で満ち溢れていました。25年間でパタゴニアカイツブリの個体数が80%減少していたのです。それに対して、バードライフは本種を絶滅危惧ⅠA類に格上げし、Aves Argentinas(アルゼンチンのパートナー)はこの驚くべき種を国際的なスターにする保護プログラムを開始しました(インターネットを通じたビデオ映像で2千万人の視聴者を得た)。Aves Argentinasはこのカイツブリの生存への多くの脅威を特定し、それと戦いましたが、その中には新しい国立公園の指定の確保が含まれます。現在個体数は安定していますが、Aves Argentinasは水力発電ダムによる新たな脅威への懸念を強めています。

 

9.実施中の政策

ベンガルハゲワシ
写真提供: © Jyotendra Thakuri

かつて極めて数の多かった南アジアのハゲワシは、どこにでもいる家畜に投与する薬品により準絶滅状態にされました。家畜に投与するフェニル酢酸系の非ステロイド性抗炎症薬の1種であるジクロフェナクが、数百万羽のベンガルハゲワシ(極めて短時日のうちに個体数が99.9%減少した)と仲間の死肉食鳥を殺しました。BNHS(インドのパートナー)、ネパール野鳥の会(同国のパートナー)及びパキスタンとバングラデシュ政府は(本稿で紹介のホオアカトキ、ヘラシギ、マミジロゲリなどでの幾つかの成功に寄与した英国のパートナーRSPBの支援を得て)ジクロフェナクに関する警告を行い、その結果、この薬の獣医薬としての使用は4カ国すべてで禁止されました。しかし私たちの活動はまだ終わっていません。「BNHSは後に抜け穴を見つけたのです。人間用のジクロフェナクの大瓶が家畜に転用されていたのです。BNHSはインド政府を説得し、2015年にこれらも使用禁止になりました。」とLawrenceは言いました。

 

10.ヘラシギを救うタスクフォース

ヘラシギの雛
写真提供: © Pavel Tomkovich

1970年代にはロシア北東部では2,000ペアのヘラシギが繁殖していました。それから30年、その数は90%も減ってしまいました。絶滅も切迫しているように思えました。バードライフはタイとミャンマーなど南に広がる越冬地のヘラシギの分布域での脅威に取り組む国際的パートナーシップ「ヘラシギ・タスクフォース」の一員です。「種の保護者」の一人Heritage Expeditionsは、保護活動家と彼らの装備を運搬することで活動を支援し、彼らが新しい繁殖地を発見し、捕獲した鳥を野外に放鳥する手助けをしています。一方中国政府は2018年に沿岸の陸地干拓を中止しました。これは東アジア・オーストラリア地域フライウェイを利用するヘラシギや他の数百万羽の渡り性シギ・チドリ類を励ますものです。

報告者:James Lowen

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