1980年以来3億羽の農耕地の鳥が失われた: 共通農業政策(CAP)の方向を変えるまでにあと何羽失うのだろう?

ヨーロッパヤマウズラ
写真提供:Eddie Dunne

バードライフ・インターナショナルと欧州野鳥センサス評議会が共同で提出した最新の科学的データによれば、普通種の農耕地の鳥がEU内で減り続けています: 1980年以来3億羽が失われたのです。このニュースは7月13日(金)に欧州委員会と新EU議長国のキプロス共和国が計画した主要な市民社会の討論会の前日に発表され、そこでは政策決定者と市民団体がいわゆる‘共通農業政策(CAP)のグリーン・リフォーム’に対する支援について話し合いました。この最新のリフォームが約束を果たさないのではないかという心配が広がる中で、今日のニュースは非常に厳しい現状を見せつける影響があり、何が危機に瀕しているかを人々に思い起こさせたはずです。

現行のCAPは環境、特に生物多様性を害する結果を招いています。化学薬品の過剰使用と地形の多様性喪失を伴う農業の強化が欧州の多くの農地を破壊する主たる原因の一つでした。もう一つは農村地域のこれらの貴重なシステムの経済を変化させることは出来ないとの危惧による、高自然価値農業システム(HNV)の放棄です。鳥は生態系の健康度を測る最善の指標の一つで、今回発表された数字は多くの種がモニタリングを始めて以来最低の状態にあることを示しています。

農地の鳥指標(FBI)は農地の鳥として分類されている37種の総個体数の傾向をまとめたものです。このうち22種が減少しており、増加しているのは僅か6種、その他の6種が安定的、3種が傾向不明です。全体的にはこの指標は1980年以来52%の減少を示しています。これは、多くの自然に優しい農家と保護団体の努力にもかかわらず、過去30年の間に3億羽の農地で繁殖する鳥が失われたことに匹敵します。

3億羽の農地の鳥の喪失という事実は、自然とその価値が軽視されていることを示唆するので重大な問題です。生物多様性の喪失は、人類すべてが依存している様々な生態系サービスの喪失をにより直接・間接に生命や経済に影響するという認識が広がってきています。

バードライフ・ヨーロッパはこのような傾向はCAP全体がグリーン化されることによってのみ反転できるという立場を取っています。これには、環境法の主要なピースすべてを含む強力な交差コンプライアンス基準の設定が含まれます: すなわち、基本的な望ましい農業実践と明確にリンクした直接支払の大きな支柱、基礎的な良好な農業以上に環境改善のための特定の管理を行う農家に報いる方法を含む強力な農村開発ピラーなどです。このようなリフォームはCAPが確実に金銭の価値を一層の高めることにつながり、特にEUの市民が今まで以上に1ユーロでも有効に使うことを求めている現在の財政危機下においては必須のことです。

バードライフ・ヨーロッパはこの情報が政策決定者や利害関係者がより良い農業政策への真の一歩を進むことを助けると願っています。7月13日に行われたこのようなイベントが、将来は環境を守りつつ長期的な食の安全を確約する、より持続可能な農業政策に向かうために、EUの政策決定者とEU市民の間で真の意見交換となるべきです。

詳しくはこちら

  1. TOP
  2. 世界のニュース
  3. 1980年以来3億羽の農耕地の鳥が失われた: 共通農業政策(CAP)の方向を変えるまでにあと何羽失うのだろう?