海鳥の生態:新たな発見10選

ワタリアホウドリ 写真提供: © Oli Prince

海鳥に関する知識は電子追跡装置のおかげで変わりました。新著「Far from Land – The Mysterious Lives of Seabirds」の作者であり世界的な鳥類学者、Michael Brooke博士が海鳥に関する驚きの発見をご紹介します。

海鳥は研究しづらい鳥とされてきました。多くの時間を外洋で過ごし、人の目に触れない離島で営巣するからです。しかし最新の技術のお蔭で、小型かつ軽量な装置を様々な種に装着することが可能になりました。今まで知られていなかった海鳥の行動や習性をご紹介します。

 

1.オオグンカンドリは眠りながら飛べる

オオグンカンドリは、上昇気流に乗った後にゆっくりと下降することを繰り返しながら、熱帯地域の外洋上空を一週間以上の間飛び続けることが出来ます。

オオグンカンドリに脳波計を装着して睡眠パターンを調べたところ、飛びながら眠っていることが分かりました。ただし睡眠時間はねぐらでの12時間に対して、飛行中は一晩に僅か42分です。眠りながらの飛行のうちの4分の3は脳の片側だけが働いています。残りの4分の1は脳のが両側が同時に働いているので、眠りにつくこととコントロールされた飛行を両立できるのです。

オオグンカンドリ 写真提供: Via Maxpixel

 

 

2.ワタリアホウドリは巣立ち後5日間は泳いで過ごす

ワタリアホウドリは名前の通り(英名の意味は‘渡り’ではなく‘放浪’)、長距離の飛行で知られています。でも最初から上手く飛べるのでしょうか。南氷洋のクローゼー諸島からで巣立ったばかりのワタリアホウドリを追跡してみると、最初の5日間のほとんどを海で泳いで過ごしていることが分かりました。上手く飛ぶことが出来るようなると間もなく一日に600㎞を飛ぶようになり、1年目の合計飛行距離は平均すると地球4周分に相当する184,000㎞にも及びます。

翼を広げた位置で固定することが出来る骨格のため、滑空している時のワタリアホウドリの心拍数は一分間に約80回で、海面で休んでいる時の約60回よりも少ししか早くないのです。なのでほとんど労力を使わずに、遠距離を飛ぶことが出来るのです。

ワタリアホウドリ 写真提供: © Steph Winnard

 

 

3.ハシブトウミガラスの初航海は父鳥と

ハシブトウミガラスの幼鳥が崖から飛び降りて巣立つ時、体重は成鳥のおよそ3分の1です。初めての航海には父鳥が連れ添います。追跡調査により、グリーンランド西部のコロニーから巣立った若鳥は父親と一緒に南へ向かって3,000㎞泳いだことがわかりました。

父鳥が幼鳥・若鳥に連れ添うのはウミガラスオオハシウミガラスの習性で、恐らく、絶滅したオオウミガラス(1844年に絶滅)も同様だったことでしょう。何故雌ではなく雄がこの役割を負うのかは不明です。旅の間は親子は恐らく目視と鳴き声を使ってコミュニケーションをとっていると思われます。しかし若鳥が初めて荒波を経験したときは、ライフラインである父親とはぐれてしまわないかという恐怖を感じることもあるでしょう。

ハシブトウミガラス 写真提供: © Richard Crossley

 

4.チュウシャクシギは台風の目の中でも飛べる

2011年の秋、‘ホープ’と命名された1羽のチュウシャクシギが北アメリカ東部の海岸線に沿って南に渡っていた際、ノヴァスコッシア沖で熱帯性暴風雨‘ガート’に遭遇しました。 ‘ホープ’は臆することなく、時速12㎞で嵐に飛び込みました。嵐の目を通過し、27時間後に‘ホープ’は時速150㎞で嵐から脱出し(あるいははじき出され)ました。‘ホープ’は直ちに進路を変え、第二プランとして避難ルートであるマサチューセッツ州沿岸のコッド岬に向かいました。

海鳥がどのようにして風であちらこちらに流されることがないことは、近年の研究では何度も証明されています。海鳥はよく遭遇する気象パターンを上手く利用することが出来、必要ならば悪天候にも対応出来るのです。予定通り行かない時でも‘ホープ’が進路変更をしたように、第二プランがあることもあるのです。

チュウシャクシギ 写真提供: © Mike Baird

 

 

5.シロカツオドリはコロニーが隣り合わせでも採餌エリアはほぼ重ならない

シロカツオドリのコロニーは英国とアイルランドの沿岸に点在していますが、コロニー同士の間が30㎞程度と近くても、それぞれのコロニーの鳥は別の採餌エリアを利用しています。

このパターンが最も著しいのはアイルランド西部沖です。ここには二つのコロニー、リトル・スケリグ(29,700つがい)と30㎞南のブル・ロック(3,700つがい)があります。リトル・スケリグの鳥はほとんどがブル・ロック(およびアイルランド本島)を離れて北西に向かい、それに対してブル・ロックの鳥は南に向かいます。このようなパターンが出来たのはコロニーから採餌エリアに向かう他のカツオドリの後を追うことにより最善のエリアを学んだからかも知れず、特に若鳥は経験豊富な成鳥に学んでいることが考えられます。

シロカツオドリ 写真提供:  Wikicommons

 

 

6.クビワカモメのつがいは遠く離れても再会できる

カナダの北極圏で一緒に営巣したクビワカモメのつがいは、冬の間は互いに遠く離れて過ごします。雌はペルー沖のハンボルト海流で、雄は南アフリカ沖のベンゲラ海流で過ごし、再び一緒になるのは翌年の春、北に戻ったときです。

鳥の脚に装着された軽量のジオロケーターから得られたこの驚くべき発見からは、若鳥の渡りの習性は、どのようにして両親から(特に非繁殖期にとてもに異なる地域に行く母鳥と父鳥から)継承されるのかという新たな疑問が沸いてきます。

クビワカモメ 写真提供: © Gregory Smith

 

7.コウテイペンギンは潜水の王者

コウテイペンギンは海鳥の潜水チャンピオンです。最も深い潜水記録は564m、最長潜水時間は21.8分です。

ペンギン類が海鳥の最も熟練したダイバーなのは恐らく驚くことではありません。しかし他の海鳥もすごい深さまで潜水することができ、ウミガラス類は時に100m以上、ミズナギドリ類でも70mまで潜ります。

コウテイペンギン 写真提供:  Pixabay

 

8.ペンギンは膨張した空気を利用して海面からジャンプする

海からジャンプして陸に上がるとき、高さが足りないばかりにコウテイペンギンに降りかかる気の毒な状況を想像してみてください。ペンギンが海から氷の上に飛び乗ろうとして海に落ちてしまった時、そこには捕食者のヒョウアザラシが待ち伏せしているのです。ですからペンギンが氷の崖の高さに合わせて、海からジャンプする速度を調節するのはとても重要なのです。ペンギンが海から上陸する時の速さの大部分は、羽毛に蓄えられた気泡の膨張によるものです。ペンギンが海面に浮きあがると水圧が下がり、気泡の膨張は益々大きな浮力を作り出し、ペンギンは海面からコルク栓のように飛び出すことができます。海面に向かって上昇が始まる深度が深いほど、ペンギンが海からジャンプするスピードは速くなります。

コウテイペンギンの雛 写真提供:  Wikicommons

 

9.シロカツオドリは餌をとる時、風力発電用風車との衝突の危険と隣り合わせになる

カツオドリは移動する際は海面上およそ11mの高さを飛びますが、餌を探すモードに入った時は海に飛び込む前に飛行高度を約26mまで上げます。

これは海鳥の専門家さえ知っていればいいようなことのように思えますが、そうではありません。英国の海域では洋上風力発電用風車の羽の高さが海面から最低でも22mと定められています。ですからカツオドリは移動の時には風車の羽に衝突することはあまりなく安全ですが、風車付近で魚を探す時は死の危険と隣り合わせなのです。

シロカツオドリ 写真提供:  Wikicommons

 

10.ウスハジロミズナギドリは抱卵の役目がない時は南アフリカまで遠征する

ウスハジロミズナギドリの親鳥は雄・雌が交代で卵を温めます。抱卵期間のうち約20日間の非番の時は、南太平洋のヘンダーソン島のコロニーから最長4,500㎞離れた南アフリカに向かい、合計15,000㎞の旅に出ます。

一般的に海鳥は雛に給餌をする時よりも抱卵時にコロニーからより離れた所まで行きます。これは雛には頻繁に餌を与えなければならないので、移動の時間が限られているためです。

現在バードライフのプロジェクトとして、ポリネシアのラパ島で多くの繁殖海鳥を保護することになっており、ウスハジロミズナギドリはその一種です。

最新のテクノロジーは海鳥が何処に生息しているかを知るだけでなく、はるかに多くのことを調べることに役立っています。鳥の追跡装置は海洋保護区の設定に役立つと同様に、鳥が危険な状況に陥ってしまう習性と、その問題を解決する最善策を見出すことに使えるのです。そして、鳥のユニークでとても興味深い習性が解明されることによって、私達はこのような素晴らしい多様性を守る大切さをはっきりと理解することができるのです。

ウスハジロミズナギドリの雛 写真提供:  Wikicommons

 

報告者:Dr. Michael Brooke

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