カオジロオタテガモを救うためのスペインの使命

カオジロオタテガモ 写真提供: © Jeff Piper

1970年代、スペインのカオジロオタテガモの個体群は、絶滅の危機に瀕していました。その驚くような回復は、なぜ絶滅危惧種の存続にとって「種の行動計画(SAP)」が重要かを示唆しています。

 

美しいカオジロオタテガモは魅力的な種です。熱心なバードウォッチャーはいつもその目立つ青い嘴や硬い尾羽根を一目見ようと必死です。アジアでの東部個体群は謎に包まれています。カザフスタンでカウントされる数万羽の正確な繁殖地や越冬地は未だに不明です。この個体群は渡り性で、シベリアから中東まで長距離を移動します。一方、数の少ない西部地中海個体群はスペイン、アルジェリア、チュニジアなどで定住し、調査も進んでいます。残念ながら、これらの東西両個体群をつなぐのはIUCNの絶滅危惧リストにおける世界的「絶滅危惧ⅠB類」という分類です。

 カオジロオタテガモ 写真提供: © Miksik

1970年代、スペインのカオジロオタテガモの個体群は深刻な湿地環境の破壊と持続不能な狩猟により、絶滅の危機に瀕していました。1977年に行われた個体数調査では、アンダルシア州のコルドバの1ヶ所の潟湖にわずか22羽が記録されただけでした。保護活動家は、行動を起こしました。潟湖での狩猟を違法とし、植生の再生と有害な外来種の駆除などを含む生息地復元対策が実施されました。ゆっくりとですが確実にカオジロオタテガモは回復を始め、最初はセビリアやカディスなどの近隣の場所へ、その後アルメリアやトレド(いずれもアンダルシア州の町)に徐々に広がりました。1988年までに個体数は400羽を超え、現在ではスペインの13の州で2,500羽まで急増しました。

スペインでのカオジロオタテガモの素晴らしい回復は、科学に立脚し、地元の行政機関やコミュニティ・グループに支援された、調和の取れた「種の行動計画(SAP)」により何が達成できるかを示した勇気づけられる事例です。しかし、一つの国のみの成功は通常、世界中のその種の状況を好転させるのには十分ではありません。これこそバードライフが3大陸、65か国に広がる16の象徴的な種を、国際的なスケールでみるため、苦心して作り上げたSAPの目標を支持するLIFE EuroSAPプロジェクトを主導している理由です。現在まだ絶滅危惧IB類のカオジロオタテガモが、対象種の一つに選ばれ、SEO/BirdLife Spain(スペインのパートナー)が最新の国際的SAPに組み込むために、本種への脅威と保護対策を明らかにするための活動を実施します。

カオジロオタテガモ
写真提供: © Luke Delve

カオジロオタテガモの西部生息地周辺では、密猟と鉛中毒(同じ地域での他の種を対象とする合法的狩猟による連鎖反応)がまだ本種の復活を脅かしています。この潜水性の種は特に漁網に絡まり溺れることに対しても脆弱です。しかしスペインでは、この希少種の長期の生存にとって最も差し迫った脅威の一つは、同じ属の他のカモ類との交雑です。

カオジロオタテガモは6種のオタテガモ属の1種で、小型で大きな青い嘴を持ち、休息時に先が尖って立つ長い尾羽が特徴です。そのうちの1種のアメリカ原産のアカオタテガモが、1950年代に逃げ出したものが英国に渡来したのに続き、1980年代にスペインに侵入を始めました。

一部の例では、同じ属の種は交雑が可能なので、これらの外来種は在来種にとって極めて深刻な脅威になります。スペインでの対応は早く、外来の個体群は直ちに制御されました。合意された対策による国際協力が交雑種の大発生を避けるための鍵で、英国での管理が欧州の他国への侵入の拡散を防ぐ鍵でした。新たにLIFE Oxyura vs. Oxyura(Oxyuraはオタテガモ属)プロジェクトが、カオジロオタテガモを保護するための国際的活動によりフランスを支援するため、欧州委員会で承認されました。

 

報告者:Jorge Fernández Orueta―SEO/BirdLife Spain、国際協力プログラム担当

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