イラクの自然保護活動家が‘エデンの園’の再建によりゴールドマン環境賞を受賞

ネーチャー・イラクのAzzam Alwash
 2013年度のゴールドマン環境賞(アジア部門)を受賞
写真提供:Goldman Prize

ゴールドマン環境財団が2013年度のゴールドマン環境賞の受賞者6名を発表しました。これは環境とコミュニティを守るためにあらゆる困難をものともせずに活動する恐れを知らぬリーダーに与えられるものです。今年の受賞者にはネーチャー・イラク(イラクのパートナー)のCEO Azzam Alwashが含まれています。

「Azzam Alwashへのアジア部門のゴールドマン環境賞は社会政治的に困難な状況にあって人と自然が調和して生きる持続可能な世界を築くために活動をしている個人の献身と決意に対する賛辞です。これは直接的にはAzzam個人へのものですが、間接的には彼が所属するネーチャー・イラクへのもので、私たちはネーチャー・イラクがイラクのバードライフ・パートナーであることを誇りに思います。これは私たち全員に対するインスピレーション、モチベーションそして希望の源です。」とバードライフの事務局長マルコ・ランバーティニ博士は言いました。

イラク南部のメソポタミア湿地は多くの人に文明発祥の地として知られており、一部の人からは‘エデンの園’があった場所と考えられています。チグリス川とユーフラテス川の間に位置するこの地方はかつてはオアシスであり、世界で最も重要な渡り鳥のフライ・ウェイの一つでした。

1990年代の中期にサダム・フセインはこの地域を焼き払い、干拓し、有害物質を流して、かつてはエデンの園として知られていた湿地を黄塵地帯に変えてしまいました。

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フセインが権力の座に就くとAlwashは迫害から逃れるために米国に移住しました。フセイン体制が崩壊した時、彼は子供のころお気に入りだった湿原を再生する時が来たことを知りました。2003年に彼はカリフォルニアでの快適な生活を諦めるという難しい選択を行い、いつか彼の娘たちも彼が幼少期に愛した場所を見ることが出来るようにするという希望を抱いて、戦乱で荒廃したイラクに戻ったのです。

2004年にAlwashはネーチャー・イラクを設立し、水力工学の経験を生かして調査を行い、湿原を再生するためのマスター・プランを立てました。彼はまた環境省や水資源省に接触をし、政府の役人に対して湿原の再生による環境、社会、経済的な利益についての教育を行いました。

色々な障害がある中で、Alwashのアドボカシーの結果メソポタミア湿原は再び元気を取り戻し、再生した湿原は今年の春イラクで最初の国立公園になる予定となっています。

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再生活動を続ける中で、Alwashは今イラクの環境に対する新たな脅威を戦っています。トルコとシリア国境に沿った上流域に23のダムが建設される計画があり、もしこれが完成するとイラクに流れる水の量は僅かになってしまいます。彼は水資源の争いによる脅威を世界の注目を集めるために船によるツアーを組織し、これらのダムを国境地域における水資源を守るために必要な保護活動の復活の機会に変えようとしています。

ゴールドマン環境賞は今年24年目となり、毎年世界の6つの大陸から一人ずつ環境活動のヒーローを選び、賞を授与しています。個人に対する報奨金15万米ドルは草の根環境活動に対する賞としては最大のものです。

 

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