「探鳥サファリ」マダガスカルでの革命

マダガスカルのマハバビー・キンコニーはバードウォッチング仲間が最も見たい種の幾つかの生息地です。 写真提供:© Jorlin Tsiavahananahary

これまで、マダガスカルの途方もなく稀な野生生物の豊かな環境マハバビー・キンコニーを訪れるのは、僅かな数のエコツーリストだけでした。しかし、これは探鳥旅行を拡大する新しいイニシアティブにより変化すると思われます。それは野生生物にも地元住民にも恩恵を与えます。

マダガスカルのマハバビー・キンコニー(地名)は、他に類のない場所です。森林、湖、湿地、マングローブ、草原が混じり合う広大な場所で、途方もなく稀な野生生物でいっぱいです。野生生物だけではありません。マハバビー・キンコニーの町、村、光景は、マダガスカル西部の人々の活気に満ちた文化の中心地にもなっています。これまでは僅か数人の勇敢なエコツーリストがここを訪れただけですが、これは変わって行きます。アシティ・マダガスカル(同国のパートナー)が、この地におけるバードウォッチング観光を大いに拡大するために地元や国内の組織をまとめました。これは地元住民と野生生物の両方に恩恵を与える活動です。

マハバビー・キンコニーという地名は、マダガスカルで2番目に大きなキンコニー湖と、広大なデルタを通って海に流れるマハバビー川に因んでつけられたものです。それは干潟、マングローブ林、森林から淡水湖、湿地、草原に及ぶ広範な環境ですので、この場所がバードライフのIBA、「国際的に重要な湿地(ラムサール・サイト)」および重要な保護区(アシティ・マダガスカルの努力により2015年に創設された)に分類されているのも不思議ではありません。

広大なデルタを経由して海に流れるマハバビー川
写真提供:© Jorlin Tsiavahananahary

このエリアに思い切ってやってきたバードウォッチャーは温かいもてなしを受けます。マダガスカル西部の湿地には他では見ることが出来ない数種の鳥が居ます。シロスジコガモ(絶滅危惧ⅠB類)、マダガスカルウミワシ(絶滅危惧ⅠA類)、マダガスカルクロクイナ(絶滅危惧ⅠB類)などで、これらは全て鋭い観察眼を持つエコツーリストなら見ることができます。鳥だけではありません。ビジターはカンムリベローシファカやDecken’s Sifakaのような素晴らしいキツネザル類に出会う可能性もあります。

マダガスカルウミワシ(絶滅危惧ⅠA類)
写真提供:© Frank Vassen

野生生物の聖域としての価値と共に、マハバビー・キンコニーは、マダガスカル西部の大部分に住むサカラヴァ原住民の中心地として文化的に極めて重要です。実際にサカラヴァ王族は、このサイトの保全の重要な支援者です。これら全てがエコツーリズムにとって極めて有望な見通しになっています。

全てを開始するため2016年に「探鳥サファリ」と呼ばれる恒例行事が、エコツーリズム振興の目的で開設されました。アシティ・マダガスカルは、地元の観光業者や地元コミュニティと共にこのサイトをバードウォッチングのホットスポットに転換することを仲立ちするべく力を合わせました。その成功は、2017年11月にさらに大規模なイベントにつながり、それ以来ブエニ地域の旗艦プロジェクトになっています。

’探鳥サファリ’イベントは地元住民に地元の鳥を楽しむ機会を与えました。
写真提供:© Jorlin Tsiavahananahary

このイベントは、バードウォッチングは勿論、保護区の鳥類学上の重要性についての公開会議・討論を伴う展示会で構成されています。バードウォッチャーは、マハバビー・キンコニーに生息する鳥について学ぶことに心を奪われています。ここには彼らが最も見たい種が何種もいるからです。地元住民はキンコニ―湖のマダガスカルクロクイナが、その希少性によりバードウォッチャーが特別に興味を持ち、世界中から人を引き寄せる可能性があると聞いて驚きました。

国内のツアー会社も参加し、特にマハバビー・デルタがエコツーリズムの目的地として有力なことに関心を持っています。彼らは積極的に対応し、提案と共にここでのバードウォッチング活動組織の改善に賛成しています。ビジターからは、ここでの素晴らしい経験が報告されても、この場所へのアクセスの悪さがエコツーリズムの発展にとって課題だからです。

アシティ・マダガスカルと共同で保護区の管理を行っている地元コミュニティは、利益を共有しています。ですから私たちはこの驚くべきサイトからの観光客の話と共に、より多くの成功話を聞けることを期待しています。

報告者: Blandine Mélis

 

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