1兆本の木:森林破壊を終わらせるために3大自然保護組織が力を合わせる

森林はそこで暮らし、そこで働く人々に計り知れないほどの生態系サービスを提供する。 写真提供: © Omar Torrico

現在より1兆本も木が多い世界を想像できますか?昨年末、ロンドンにおいて、森林破壊を止めるだけでなく増加に転じさせることを目標とした、かつてないパートナーシップが自然保護界の3巨頭によって立ち上げられました。

バードライフ・インターナショナル、WWF(世界自然保護基金)英国支部、野生動物保護協会(WCS)の3団体は、一つの野心的な目標のために共同で出資しました。目標は2050年までに1兆本の木を植林または復元、保全することです。

1兆本の木と聞くととてつもない数のように思えますが、韻を踏むため(木【Tree】と1兆【Trillion】)にこの数を選んだわけではありません。これは、現在世界中で進んでいる森林の壊滅的な減少を反転させるために必要な数なのです。事実、私たちには樹木が必要なのです。森林は地上の二酸化炭素の45%を吸収し、気候変動の影響を相殺します。また陸地の動植物の3分の2にとっての生息地であり、16億人の人々の生活も支えています。さらに森林は、空気と水を浄化します。ところが私たちは毎年100億本の樹木を失っているのです。人類文明の初期、地球は6兆本の木に覆われていました。現在では3兆本に過ぎません。

私たちは意志が事を成し遂げる、と信じています。そして、1兆本は決して手の届かない目標ではありません。3つの組織は既に世界中で森林の復元に成功しています。しかし、力を合わせることで、さらに大きな力が生み出せるのです。協力し、知識と資源を共有し、活動の重複を回避することで、個々の活動を新しい水準に引き上げることが出来るのです。

「1兆本の木」プロジェクトは企業や政府、NGOの対話がきっかけでした。
写真提供: © Charlotte Atkin

この目標を達成するために私たちは二つのギャップを埋めることに注力します。一つは実施のギャップで、私たちは保護活動政策が実行に移されるように働きかける効果的な方法を見つけなければなりません。二つ目は野心のギャップです。森林は現在の政策が認識している以上のことをしてくれることを示唆する調査結果が増えています。そのため、世界的な調査と支援活動を強化する必要があります。

「適切な木が適切な場所にある、ということなのです。適切な土地利用により気候変動の25%相当を解決できると言われており、「1兆本の木」プロジェクトにおいて協力して森林の活動を実施することは、21世紀の重大な社会的優先事項への貢献につながるのです。」とバードライフのCEOパトリシア・ズリータはコメントしています。

私たちの構想を実現する最善の方法は、重点的に活動することです。既に最も優先度の高い地域では活動を始めています。現在はコロンビアの熱帯雨林の保護区の拡張と強化を行っています。アフリカでは大陸全土で持続可能かつ森林破壊のないココア生産を計画中です。私たちの活動により生じた影響を持続させるためには、生計を森林に依存しているコミュニティの利益にもつながる、地域にあわせた活動計画を立てることが不可欠です。

野心を持つことには何の間違いもありません。このパートナーシップにより、3つの国際的組織は、かつてないようなことを成し遂げることができるでしょう。そして、政府や世界の他のNGOもこれまでよりも前進するきっかけとなることを期待しています。

報告者: Jessica Law

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