バイオマスが持続可能と思い込むことの危険性

写真提供:Ariel Brunner

1月30日(水)、バードライフ・ヨーロッパ、クライアント・アース、EEB、FERNなどの環境NGOが、“スカンジナビアのバイオマスはどの程度維持が可能か?”という会議を開催しました。これはスカンジナビア諸国のように多くの森林を有する国だけでなく、再生可能エネルギーがいろいろな点でどの国にとっても議題となっている現在すべての欧州諸国に関連する問題なのです。

バイオマスとはエネルギーの生産が可能なあらゆる有機物のことです。バイオ燃料は砂糖、小麦、菜種油のような植物油などのバイオマスに由来する燃料のタイプの一例です。しかし、バイオマス由来のバイオ燃料は木材を燃焼させて作るエネルギーのように、他のタイプのものもあります。

2009年にEUは再生可能エネルギー指令(RED)を採択し、2020年までに全エネルギー消費量の20%は再生可能資源でまかなうことを約束しました。この法令はEU加盟国により20%の半分までは電気、暖房および車両用のエネルギーのためにバイオマスの形でまかなうと言い換えられました。

巨大な森林を有する多くの国ではすでにエネルギー、暖房、燃料のためにバイオマスの採取が増加しています。しかし、現行の法令は、森林の生物多様性を維持し、森林の管理を持続可能にするには不十分であることが判明しました。

バードライフ・ヨーロッパのEU政策ヘッドのエアリエル・ブラナーは「スカンジナビアの森林は欧州市場に森林をベースにした製品の大半を供給しています。ところが、研究者の調査ではスウェーデンとフィンランド両国の森林で生物多様性が減少していることを示しています。」と言いました。

それに加えて彼は「エネルギー目的での木質バイオマスの使用はEUのエネルギー消費の10%に増加することになるので、欧州の森林への圧力は増加し、持続を可能にする基準が導入されなければ森林生態系はさらに悪化するでしょう。」と付言しました。

欧州でのCO2排出削減のためには化石燃料からの移行は必要ですが、バイオ燃料の使用、特に木質バイオマスの不均衡な増加に関係する重大な危険があります。REDに由来するターゲットはその持続可能性に関していかなる形の保証もなく導入されました。現状では、エネルギー生産のために用いられたバイオマスが持続可能な資源によるものであるかどうか、食糧生産のための土地と競合しないこと、およびバイオマス利用が温室効果ガスの排出を減らすことに対して何らの保証もないのです。

「現在のゴールド・ラッシュのようなバイオマス利用は生物多様性と気候の両方にダメージを与えています。私たちは森林も守る持続可能な枠組みを至急に必要としています。スカンジナビア各国の政府はこのような枠組みをボイコットするのではなく支持すべきです。」とエアリエル・ブラナーは話を結びました。

会議を開催した環境NGOは、主なEUおよび各国の公共機関と市民社会の代表を一つにしたこのイベントが、エネルギーを目的とするバイオマス利用の増加を調整する義務的な持続可能枠組みの構築を進める話し合いを助長し、CO2排出の削減と無用な間接的土地利用変更(ILUC)を制限することを望んでいます。

 

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