類は友を呼ぶ: バードライフ・パートナーの2016年のハイライト

スウェーデンFalsterboでのバード・ショーにて 写真提供: (c) P-G Bentz

 荒れ狂う北大西洋からカスピ海、ブレイザフィヨルズルのフィヨルドからダニューブ川の鉄門、高いピレネー山脈からカザフスタンの草原・・・欧州と中央アジアの素晴らしい自然美を鳥の目で見るほど良いことはないでしょう。今回はバードライフ・パートナーの活動うち、2016年のハイライトを幾つかご紹介します。

2016年は47ヶ国48のNGOのパートナーが所属するバードライフ欧州&中央アジア・グループにとって多忙な年でした。古い諺の「類は友を呼ぶ」のように、私たちの地元と世界をつなぐアプローチは多の力が鳥や人に対していかに効果的かを証明しています。私たちはEUの自然指令を守るという素晴らしい勝利のうちに年を締めくくりました。けれども語るべきことは他にもたくさんあります。

科学: バードライフの究極の基準

バードライフでは科学が絶対的基準です。私たちの自然保護に対する礎です。毎年パートナーたちは鳥類学上の知見を増やしています。2016年も例外ではありません。例えばカザフスタンのパートナーACBKは稀少なガン類や他の水鳥に関して同国で最も集中的なセンサスを行い、クロアチアのパートナーBIOMは国鳥の分布に関する3ヵ年調査を完了し、将来の鳥類分布図の新しい基礎データを得ました。また他の多くのパートナーも、スロベニアのDOPPSが欧州で初めてテレメトリー・ロガーをオオアカゲラに装着したように、データ収集の革新的な技術を活用して素晴らしい成果をあげています。隣国ハンガリーのMMEはスマートフォンの鳥類図鑑アプリを開発し、4月以後に既に5万人の利用者がダウンロードしています。

このような証拠に基づく働きかけによって、IBA(重要生息環境)は世界の信任を得てきました。IBAは絶滅が危惧される鳥類や他の動植物保護のために国際的に重要な地域を表します。幸いなことにパートナーのハードワークのお蔭でIBAの数は増え続けており、フィンランドのバルチック海沿岸からベラルーシのイプチ川の氾濫原、ウズベキスタンのMashankul湖やKhozhakul湖にまで及んでいます。

MMEが作成した携帯電話用アプリ Bird ID

飛び立ち: 活動中の調査

重要な自然環境を人為的な脅威から守るため、パートナーたちは鳥と人が平和に共存できる革新的な方法を模索して、地元コミュニティ、他のNGO、政府当局及び一般企業と緊密に活動しながら、積極的に長期的な生態の復元や持続可能な管理プロジェクトを行っています。去年はSOS(スロベニアのパートナー)がMedzibodrožie(地名)の農家と共にこの地域の干上がった湿地に水を戻す作業を行いました。自然の反応は驚くばかりでした。サンカノゴイが戻り始め、非常に希少なメジロガモが数ペアも観察され、ムラサキサギ、ダイサギ、ゴイサギなどの水辺の鳥の全く新しいコロニーが形成されたのです。

彼らの成功は間違いなく2017年に同様な野心的なプロジェクトを立ち上げようとしている(あるいは継続中の)人たちの励みになるでしょう。西地中海地方だけでも、バードライフ・キプロスはかつて様々な環境がモザイク状に生育していたAkrotiri湿原の復元を行い、SPNI(イスラエルのパートナー)は絶滅危惧種Tamarisk Nubian Nightjar(サバクヨタカの1種)の持続可能な唯一の個体群の生息地であるイスラエルのSdom塩性湿地の保全に乗り出し、またバードライフ・マルタはSalini塩田の600年に及ぶ歴史の次章を書く予定です。バードライフ・マルタは最近渡りの季節にフラミンゴの大群を呼び込むための湿地の土地管理活動で表彰されました。北の方でもわくわくすることがあります。例えばOTOP(ポーランドのパートナー)は同国のBeka自然保護区でのエコツアーを計画し、隣国のバードライフ・ベラルーシは猛禽類、フクロウ類、キツツキ類のためにBiałowieża森林国立公園の1,000ヘクタールの泥炭地を復元する大プロジェクトを行います。

ポーランドのBiałowieża森林国立公園
写真提供: (c) Tomasz Wilk

想像の飛躍: 一般の人たちを巻き込む

保全活動はどれも一般の人から広く支持が得られなければ達成できないでしょう。すべての国で、老いも若きも同様に、力いっぱい自然を楽しみ、必要とあらば自然を守るために立ち上がるべきです。去年、フランスのパートナーLPOは同国の生物多様性法を強化するための弛まぬ戦いを続け、野生のミツバチを全滅させた殺虫剤ネオニコチノイドの使用に反対する669,102件の署名を集め環境大臣のSégolène Royalに提出しました。

芸術はしばしば自然からインスピレーションを得て来ました。サンサーンス(作曲家)の‘動物の謝肉祭’、アルブレヒト・デューラー(画家)の「野うさぎ」、ジョン・コンスタブル(画家)の一連の田園風景画などです。バードライフの仲間も、考えうるあらゆる方法でこの豊かな伝統を続けています。ラトビアのLOBとバードライフ・キプロスは共に絵画コンテストで大成功を収めました。前者は‘今年の鳥’コンテスト、後者は‘153種の鳥’(キプロスで密猟の影響を受ける153種の鳥の意味)を開催し数百もの応募がありました。その一方で音と映像の世界では幾つかの映画、テレビ、ラジオへ質の高い貢献がありました。Gregor Subic(人名)の感動的なドキュメンタリー‘危機にあるウルツィニの宝’は、モンテネグロのパートナーCZIPが欧州で最重要な野鳥の越冬地の一つであるウルツィニ・サリナをリゾート開発から救った活動をまとめたものです。スペインのテレビ番組ではSEO/BirdLife(スペインのパートナー)がドキュメンタリー・シリーズ‘レッド・ナチュラ2000’で5百万人の視聴者を獲得しました。またバードウォッチ・アイルランド(同国のパートナー)は司会者のDerek Mooneyの番組‘欧州の夜明けのコーラス’と提携して、ラジオの電波を野鳥のさえずりでジャックしました。この番組は‘今年のラジオ・イベント’でローズ・ドール賞(欧州で最も名誉のある欧州放送連合主催の国際テレビ祭)を受賞しました。

次世代の愛鳥家や自然保護活動家を育てる活動も数多く行われました。コーカサス地方では、アゼルバイジャンでのAOSによる‘バード・キャンプ・ベッシュ(地名)’とASPBの‘Dseghエコ・クラブ’がバードウォッチング、アウトドア訓練、学生のための学級などの活動を行っています。またベルギーではワロン地区のパートナーNatagoraが多くの学校で採用された生物多様性に関するビデオ・ゲームを開発しました。現代の子供たちは500種ものポケモンのキャラクターを覚えることが出来るのですから、500種の鳥を覚えられないはずがありません。

ラトビアでの「今年の鳥」コンテストで2位になったElina Garance(11歳)の作品。
資料提供: (c)LOB

前へ上へ!

保護活動が最終的に効果を上げ、鳥の数が回復したときが最も素晴らしい瞬間であることに異論はないでしょう。2016年には2017年のとなるような多くの成功例がありました。バードライフ・オーストリアはカタシロワシが最も繁殖に成功したシーズンを祝い、ジョージアではSABUKO(同国のパートナー)が最近作った人工巣の近くで成鳥のペアがディスプレー飛行をしているのが観察されました。繁殖ペアが40に満たないこの国では特筆すべきです。ブルガリアではBSPB(同国のパートナー)の長年にわたる積極的な活動の結果、ベレネ島でハイイロペリカンの2つ目のコロニーで遂に繁殖が始まりました。セルビアではBPSSS(同国のパートナー)が絶滅危惧種のコキジバトを救うために、狩猟をさらに1年間禁止にし、10年に及ぶ戦いの歩みをはじめました。SVS(スイスのパートナー)も絶滅が危惧されるコキンメフクロウの繁殖ペアを153ペア観察するという記録を立てました。北へ進んでノルウェーでは海鳥に新たな希望が出てきました。NOF(同国のパートナー)と政府の共同活動‘海鳥のための行動計画2017’が始まります。一方、英国ではRSPBがサンカノゴイの盛況時期を迎えています。この大型のサギは20世紀末に地元では絶滅状態だったものがほぼ完全な復活を果たしました。

バードライフ・オーストリアはカタシロワシの繁殖が最も上手く行ったシーズンを祝いました。
写真提供: © Michael Dvorak

このような明るい雰囲気の中、この記事も終わりに近づいてきました。私たちのパートナーの成し遂げたことやハードワークのすべてを公平に紹介できていないかも知れませんが、2017年も引き続き前を、あるいは空を見上げるでしょう。私たちが一緒に成し遂げることを見守っていてください。Nature Alertキャンペーンを通じて私たちが宣言したように‘すべては自然のために、自然は皆のために!’です。

 

報告者: Gui Xi Young

 

 

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