絶滅から救われた10種の鳥

HBWとバードライフがこのほど出版した「Illustrated Checklist of the Birds of the World第2部には全てのスズメ目が収録されており、第1部と合わせて現生の10,965種の全てがカラーで解説されています。

実際、森林破壊や、外来種、気候変動、密猟などがある中で、地球上にまだこれほど多くの鳥が生息していることは幸運なことです。人類は本来自然がもたらしてくれる恵みの全てを破壊しているように思えます。けれども一方で毎日世界中で熱心な人々が自然を守るための活動を行っているのです。今回は彼らの保護活動がなければ絶滅していたであろう10種をご紹介します。

 

1.セーシェルメジロ Zosterops modestus

セーシェル諸島は世界の他の離島と同じように、固有種が外来種と森林破壊に脅かされています。このオリーブグレーの小鳥は一時あまりにも稀になったために数十年間絶滅したと考えられていました。けれども保護活動によって列島内の他の島にこの鳥を移し分布域を拡大させました。この方法にはリスクがありますが、他の多くのセーシェルの鳥で成功を収めてきた大胆な方法です。結果として個体数の増加につながり、今年のレッドリストで本種は絶滅危惧Ⅱ類に格下げされました。セーシェルの黒く輝く目を持つメジロが生き残ったのです!

 

2.チャタムヒタキ Petroica traversi

チャタム諸島の固有種であるチャタムヒタキの個体数は、1980年には記録のある鳥類の中で最低の、僅か5羽でした。他の島嶼性の鳥と同様、本種も捕食哺乳類の居ない環境で進化したために、この不器用な鳥は島にネズミやネコが移入した際には、対抗する術がないためいずれ果絶滅するだろうと思われていました。集中的な植樹と生息地の管理によって、本種は驚くほど回復し、世界でもよく知られた保護活動の成功事例となりました。現在約230羽のチャタムヒタキが生息していますがその全てが‘オールド・ブルー’と呼ばれた1羽の雌の子孫です。現在も個体数は増え続けていますが絶対数としては少ないので絶滅危惧ⅠB類に分類されています。

 

3.ラロトンガヒタキ Pomarea dimidiata

クック諸島原産のこのヒタキは一時世界で最も希少ない種に数えられていましたが、捕食動物の管理と集中的な保護活動により絶滅危惧Ⅱ類に格下げされました。本種が生き残るにはこれらの活動の継続と少しばかりの運が必要です。サイクロンの襲来や雑草の侵入などの偶発的な出来事によって、一瞬にして本種を絶滅危惧ⅠA類に戻ってしまう可能性があります。

 

4.セーシェルシキチョウ Copsychus sechellarum

  

元々はセーシェルの少なくとも8つの島に生息していましたが1965年にはフリゲート島におよそ13羽が残るだけになってしまいました。その17年後復元計画が始まりました。新しい生息地、餌の確保、営巣地の防御、外来種の制御、他の島への移送などにより状況は一変しました。今日、本種はし個体数は120羽まで回復し、今も増えています。

 

5.ロドリゲスヤブセンニュウ Acrocephalus rodericanus

流域保全の必要性から進められた生息地保全と植林により、そして壊滅的なサイクロンがなかったことも幸いし、本種は回復しました。モーリシャスののどかなロドリゲス島が原産の本種の生息地は、放牧された家畜の侵入を防ぐための柵が立てられ、外来植物が除去され、在来植物が植えられました。これらの活動の結果、本種は2013年に絶滅危惧ⅠB類から準絶滅危惧種に格下げされました。

 

6.ロドリゲスベニノジコ Foudia flavicans

この種はかつてモーリシャスのロドリゲス島に多数生息していましたが、生息地の破壊に加えて日照りや外来種などによって1968年には急減しました。本来の森林が復元され拡大したことで個体数が増加し、現在では4,000~17,000羽と推定され、さらに増加する傾向を示しています。

 

7.カートランドアメリカムシクイ Setophaga kirtlandii

このアメリカムシクイは20世紀初頭から減り始めました。本種の繁殖環境が非常に特殊で、砂地に生育する、山火事によって維持されている高さ1~5メートルのバンクスマツの純林だけなのです。人為的に火を入れることにより、本種の生息地は広がり個体数も増え続けていますが、分布域が狭いことから依然として準絶滅危惧種のままです。

 

8.エクアドルヤブシトド Atlapetes pallidiceps

このエクアドルの鳥の生息地は非常に狭く、しかも1箇所しかありません。それでも生息地の保全とテリバネコウウチョウなどの托卵鳥の管理のお蔭で2003年以後個体数が増加しています。それでも本種は不安定で、さらなる改善には保護活動の継続が不可欠です。

 

9.North Island Saddleback  Philesturnus rufusater(ホオダレムクドリ科)

10South Island Saddleback Philesturnus carunculatus(ホオダレムクドリ科)

この2種は、小規模な個体群がニュージーランドの捕食動物の居ない島に生息しているのみです。捕食動物や雑草の管理などの集中的な保全管理により個体数は増加しています。生息地も少ないため、人の影響やサイクロンなどの偶発的な事象の影響を受けやすいため、準絶滅危惧種に分類されています。

 

報告者: Irene Lorenzo

 

 

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