パタゴニアのペンギンを保護しよう

巣穴に居るマゼランペンギン
© Australis Photography

「海鳥生物学者が何年も訪れていなかったコロニーに戻るのは滅多にないことです。人間活動が世界中の多くのコロニーを縮小あるいは消滅させてきたのです。」幸いなことに種によっては少しの保護活動が大いに役立つことがあります。

バードライフのマリーン・プログラムの南米コーディネーターのEsteban Frereマゼランペンギンの研究で生物学者としてのキャリアを始めました。彼は最近パタゴニアにあるコロニーの調査のために同地に戻りました。

マゼランペンギンは恐らくほとんどの人が‘ペンギン’という言葉を聞いた時に思い浮かべるペンギンとは違います。典型的な黒白の色彩をしていますが、顔の周りにピンク色の模様があるのです。

ペンギンのステレオタイプなイメージとは異なり、彼らの営巣コロニーが雪や氷で囲まれては居らず、温暖な地域に生息し、直接の太陽光から自身と雛を守るために巣穴を掘るのです。ただし、全てのペンギンと同じように、絶対的な魅力があり、海の達人なのです(陸ではダメですが)。

マゼランペンギンは太陽光から身を守るために巣穴を掘る © BirdLife

パタゴニアのペンギンの大規模な調査は1990年代にパタゴニア沿岸でパタゴニア自然基金野生生物保護協会(WCS)が海鳥と海洋性哺乳類の総合調査を行って以来、行われていませんでした。

最近の2年、パタゴニア・アウストラル国立大学の研究者がバードライフ、WCS、テマエイケン基金の支援を受けてサンタクルス州のアルゼンチン領パタゴニアの南部海岸のマゼランペンギンのコロニー調査を行いました。これらのコロニーはおよそ25年の間調査が行われていませんでした。

「海鳥生物学者が何年も訪れていなかったコロニーに戻るのは驚きです。人間活動が世界中の多くのコロニーを縮小あるいは消滅させてきたのです。」しかもこれは人一人の一生の間に起こりました。

実際に最近の数十年にパタゴニア沿岸のペンギンへの脅威は大きくなっています。主な脅威は、漁業の影響(混獲)、気候変動、生息地破壊などです。これらの変化はパタゴニアに戻りペンギンの個体数を調べることの非常に重要な理由の一つです。

幸運にもこれらのコロニーの調査のためにこの地に戻れたのは良い経験でした。事務所から離れ、騒々しいコロニーの中で時間を過ごす素晴らしさだけでなく、アルゼンチン領パタゴニアの最南部のマゼランペンギンの個体数が安定しており、繁殖ペアの数も1990年代と極めて近い値だったことがわかったのです。

これは幸運とアルゼンチン政府による保護活動の成果です。幸運だったのは、多くのコロニーが大都市から離れていてアクセスが困難なため、人の居住地に近いコロニーが直面する生息地破壊と攪乱が無縁なことです。

同時に、国と州政府はアルゼンチン沿岸に海洋公園を作り、地元コミュニティも海でのオイル汚染とコロニーへの人による攪乱を減らす対策を求めるロビー活動を行いました。これらの活動は、間違いなくアルゼンチン南部のマゼランペンギンのコロニーの保全に貢献しました。

公海上での脅威を最小化するためにはさらなる活動と努力が必要ですが、現状は良いスタートであるように見えます。これらのコロニーに次に訪れるのが25年先にならないことを願っています。

 

報告者: Esteban Frere

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