ベラルーシで1,000ヘクタール超の泥炭地を復元へ

ベラルーシで繁殖するタシギ
写真提供: © KOO

APBバードライフ・ベラルーシ(同国のバードライフ・パートナー)、国立公園当局、フランクフルト動物園協会による、ワシタカ類、フクロウ類、キツツキ類にとって掛け替えのない環境の復元を目指した大掛かりなプロジェクトがBiałowieża 森林国立公園で行われています。

Białowieżaの森はポーランドとベラルーシの国境に広がるヨーロッパ最後の原始林の一つであり、かつては大陸を覆っていた広大な森林の数少ない残りの一つです。この森はナチュラ2000サイトの一つであると同時に、IBA(重要生息環境)およびユネスコの世界遺産でもあり、ヨーロッパジシギ、カラフトワシ、ハシボソヨシキリなど合計250種の鳥類が生息しています。

60年前、ソ連による大規模な湿地干拓事業の結果、Białowieża森林の東端にあった7,000ヘクタールの巨大な開けた湿地が開拓されました。今回新たに始まった保全プロジェクトは国立公園内の1,163ヘクタールを復元する方策を探るものです。欧州で最大の湿地を復元するために、このプロジェクトは2016年12月末までに112の自然のダムの建設を計画しています。

泥炭地復元プロジェクトはBiałowieżaの森の中央部で行われていますが、その影響は国境を越えて広がるでしょう。いわゆるDziki Nikar沼地はBiałowieża森林のポーランド側に水を供給する主要な河川の一つであるナルヴァ川の水源です。建設中のダムにより、両国の野生生物のために水位を地表まで引き上げます。

復元工事の様子
写真提供: © APB BirdLife Belarus

泥炭地はなぜ大切か?

泥炭地は湿地の一形態で、腐敗した植物が作り上げた厚い有機土壌の層で出来ています。

泥炭地は独特の生態系を形成し、炭素を貯蔵するため気候変動を緩和する働きを持っています。実際に泥炭地は森林の10分の1の面積で森林の2倍の炭素を貯蔵するのです。また大量の水を貯蔵するので洪水を抑制し、きれいな水の供給源にもなります。

ベラルーシは欧州における泥炭地の復元のトップランナーです。APB BirdLife Belarusはこうしたプロジェクトで重要な役割を果たしています。

ベラルーシでは過去10年の間に5万ヘクタールもの劣化した泥炭地が再び湿地化されました。泥炭地の劣化のほとんどは泥炭の採取が原因で、元の湿地に復元するには複雑で時間のかかる作業が必要です。しかし今回のプロジェクトの場合、Dziki Nikarは干拓後、実際に農地として使われた期間が短かったために、元の植生にうまく戻せる公算が大きかったのです。

「水はベラルーシのすべての生態系の鍵です。ほとんどの希少種は、水不足により希少種になったのです。泥炭地を復元できればこれらの種を呼び戻すことが出来るでしょう。私たちはヨーロッパジシギ、カラフトワシ、ハシボソヨシキリが戻ってくるのを心待ちにしています。」とAPB BirdLife Belarusの理事Alexander Vintchevskiは言いました。

最初の結果は2~3年内に判明するでしょう。けれども、生態系が完全に復元するには少なくとも30年は掛かるでしょう。

 

報告者: APB BirdLife Belarus

 

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