欧州理事会が有害な農業に対して白地小切手を発行する方向へ

環境に有害な農業には‘ノー・モア白地小切手’のキャンペーン用の幟

今週、バードライフ・ヨーロッパはそのパートナーやブリュッセルの他の環境NGOと共に‘No白地小切手’キャンペーンに参加します。このキャンペーンはCAP(共通農業政策)を環境に配慮したものにするための最後の呼びかけをすることが目的です。CAPはEU(欧州連合)の予算の40%にもなる農家への補助金プログラムです。

キャンペーンに加わるNGOは、11月末に予算決定のために会合を行う欧州理事会を対象にした意見記事や広告を欧州全域のメディアに発表しています。

最初からCAPの将来についての交渉は、ヨーロッパの環境、地方コミュニティ、長期的な食の安全により多くを提供することについて話し合うことになっていました。この歓迎すべき意図にもかかわらず、いつものアジェンダどおり現行の破壊的な農業が続きそうです。今の様子では、理事会の結論は積年の農業補助金への白地小切手(小切手に記入すべき要件を取得者に自由に記入させるために白地のままで発行された小切手)が今後も続くことになりそうです。これは一般人にはまったく理解できない結末です。

EUの予算総額の40%近くが(2007-2013)農業への補助金です。大きな金額が高度に工業化された農業を支援したり、不公平に分配されています。元々の改革目的は、この金額を農家が環境を保護し、あるいは再生した時に確実に支援を受けられ、苦労している村落の繁栄を保障するために使うことにありました。しかしこの希望は今や色褪せつつあります。

欧州各国の首脳が11月22~23日にブリュッセルに集まり、2014~2020年のEU予算に合意をし、また、納税者の税金のどこまでを農業への資金とするかを決めることになっています。各国の農業大臣がどの程度‘環境に配慮し、公正である’かが分からずに誓約が行われ、欧州議会は将来のCAPを定めるでしょう。今の段階で、ひとたび財政的誓約がなされれば、予算の制約があるためにいかなる有意義で進歩的な環境対策も剥ぎ取られるという深刻な脅威があるのです。欧州議会議員や農業大臣の一部は、CAPの予算が減額されれば、環境対策は行われないだろうとまで言います。

CAPは長い間EUの予算の中で最も意見の分かれる案件でした。欧州の農業の将来は現在一部の議会議員と大臣の手中にあり、彼らは環境や社会経済面での見返りがほとんど無い集約的農家に巨額の支払いを行わせる農業側のロビー活動に丸め込まれています。予算が割り当てられる前に、この政策が具体的な利益を与える約束をする必要のないような状態を作ってしまえば、このネガティブな考えを強化するだけになります。‘ミルクの湖’と‘バターの山’の日々が終わる間、このようなビジネスのあり方は欧州の信頼性にほとんど何ももたらしません。EUの有権者と共通の究極の幸福、すなわち私たちが共有する環境に対する説明がもう一度なされなければなりません。

Tけれども、この状態はまだ救うことが可能です。明確な政治主導があれば、財政責任と欧州市民にとって利益となるCAPの改革に再び焦点を当てることが可能です。それにはこれ以上の白地小切手を発行しないことです。政治主導者は、CAPの支払いは、最低限農民が環境を守る効果的な手段を取り、農業を21世紀のものにし、その結果、長期の食の安全が自然資源の適切な管理により確保されるべきであることを主張しなければなりません。

農業用化学薬品、気候変動、水質汚染、土壌の劣化に影響される農業と動植物の多様性の崩壊の関係ははっきりしています。これらの問題の解決が出来ないままにEUからの補助金の継続を要求する既得権益とは戦わねばなりません。環境を破壊するのではなく、環境と調和し生態学的過程を尊重する農作業の方法はたくさんあります。私たちにはそのような方法を主流にするような政治的意思が必要なだけなのです。

私たちはCAP全体を環境に優しくすべての農民に公平なものにすることにより、EUの農業の長期的な存続を確保しなければなりません。‘農村開発基金’を農村経済を支え、農村地域での環境からの恵みを増やすために使うことが出来ます。一部の欧州議会議員やメンバー国によるCAP資金の吸い上げを図るいかなる試みも防がねばなりません。私たちの政治リーダーはこの基金には農村コミュニティの存続を維持し、環境の恵みを保障する十分な財政支援があるということを保証しなければなりません。

各国首脳が11月末に集まった時に、彼らは国民にとっての利益は何か、また長期的に見て持続可能な農業を支えることが出来る環境とはどのようなものかをしっかりと見据えるべきです。政治家は、CAPを将来の世代のために今本当に改善をしたいと望む農民を支援するために使わなければなりません。それを望まない農民のために白地小切手を発行することではないのです。

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