欧州各国の政府が生物多様性の災厄に向かっている

バードライフ・ヨーロッパ作成の‘復活への道’報告書

今日発表された報告書‘復活への道’の中で、バードライフ・ヨーロッパは、現在EU(欧州連合)がその‘生物多様性戦略’の中に設定している6つの目標(後述 備考 第1項)に対する活動経過の総合的な評価を提供しています。EU生物多様性戦略は2020年までにEU内での生物多様性と生態系サービスの喪失を止めることを目的としています。

バードライフ・ヨーロッパは、EUが農業・漁業・運輸・エネルギー分野に対する有害な補助金を止め、自然保護活動への資金(後述 備考 第2項)を増加させない限り、欧州各国の政府はその‘戦略’から完全に逸脱する危険があると結論付けています。

バードライフ・ヨーロッパの政策部長エアリアル・ブラナーは「欧州各国の政府は直ちに環境への投資を開始し、これを妨害するロビイストの発言は聞かない必要があります。」と言い、続けて「今行われている交渉で、EU予算と農業改革に関して間違った決定を行うことはEUが‘戦略’の達成に失敗する恐れがあることを意味します。」と言いました。

EUは法令実施の不十分さ、資金の不足、農業や漁業などの部門別政策の改革に対する組織的欠陥などにより、生物多様性の減少を食い止めるという2010年目標の達成に失敗しました。生態系を守ることの緊急性と重要性を認識して、EUは新しい2020年重要目標を採択しました。

2020年目標の採択と、2010年の名古屋で行われた生物多様性条約会議の際にEUが行った国際的誓約から2年が経過したことから、バードライフ・ヨーロッパ・パートナーシップは、2020年目標‘への道’の経過に対する初めての検証を行い、2020年までこの評価を定期的に繰り返す計画です。

バードライフ・ヨーロッパは共通漁業政策(CFP)と共通農業政策(CAP)の改革、および、現在行われている2014~2020年のEU予算の交渉を生物多様性と生態系への投資に向けることなどを含む解決策を提案します。

2020年に向けての進展の最初のマイルストーンは生物多様性に十分な投資を行うことです。その結果、バードライフ・ヨーロッパは現在行われている2014~2020年EU予算は最終的に環境に有害な補助金を改善し、生物多様性保護に必要な投資に向かわせることに十分期待できるものかどうかを評価しました。

EUのメンバー国はそれぞれ彼らがリーダーシップを発揮しているか、あるいは、後れを取っている地域を検知するために個別に検討されました。

バードライフ・ヨーロッパの政策部長エアリアル・ブラナーから‘復活への道’を受け取る欧州環境コミッショナーJanez Potocnik

備考:

第1項 6つの目標

1. 野鳥・生息地指令の完全実施
2. 生態系と生態系サービスの維持と復元
3. 生物多様性の維持と強化に対する農業・漁業の貢献度の向上
4. 漁業資源の持続可能な利用の確保
5. 外来種との戦いへの支援
6. 世界的な生物多様性喪失の防止を支援

第2項 バードライフ・ヨーロッパが推奨する自然保護活動への資金増加
・      EUの環境ファンド“LIFE”の総予算をEUの総予算(約年間15億ユーロ)の0.23%から1%への増額
・      共通農業政策(CAP)の2つの柱のバランスを取り、総予算の50%が確実に‘農村開発プログラム’に向けられるようにする
・      特に‘結束政策’の下での気候緩和を通して、EU予算が気候関連活動の20%に確実に交付されること
・      気候および生物多様性のためのEU資金の具体的なプラス効果、マイナス効果を記録する追跡システムの確立

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