南アフリカのヘビクイワシ保護を助ける人工衛星による追跡調査

バードライフ・南アフリカ、絶滅危惧野生動物トラストの猛禽類プログラム(EWT-BoPP)およびウィットウォータースランド大学が南アフリカで最もカリスマ的存在の猛禽の一つヘビクイワシの人工衛星による追跡プロジェクトを立ち上げました。

ヘビクイワシの分布は広く、森林に覆われた地域や真の砂漠を除く、サハラ砂漠以南の異なったタイプの場所全域に生息しています。ヘビクイワシは生息域全体で様々な要因により脅威が及んでいることから、最近のIUCNのレッドリストで絶滅危惧Ⅱ類に格上げされました。減少の要因には農業と商業森林開発による生息地の細分化と劣化、電線や農場のフェンスへの衝突、2次的中毒などが含まれます。長い足と直立した冠羽で容易に識別できるこの象徴的な種の生存が南アフリカでは危うくなっているのです。これまでの二つの野鳥地図プロジェクトにより集められた情報の予備的な分析でこれまで本種が南アフリカで占めていた領域で大幅な減少が示されました。

EWT-BoPPとバードライフ南アフリカはヘビクイワシの生態をより深く理解するために共同のプロジェクトを始めました。ヘビクイワシは巨大で観察しやすい鳥なのですが、彼らの行動圏のサイズ、若鳥の分散の状況、どのような環境を好むのかなどについてほとんど知られていませんでした。

費用の掛かるやり方ですが衛星追跡調査は本種の移動と生息地に関する詳しい情報を提供するでしょう。これらの装置は1箇所当たりおよそ25,000ランド(約25万円)掛かります。GPSの装着された携帯電話を利用するこの追跡装置は15分毎にデータを集め、6~10メートルの範囲での精度があり、GSM携帯電話ネットワークを通してデータをダウンロードします。

バードライフ南アフリカのハウテン州と北西部担当地域保護マネージャーのアーンスト・レティーフは「追跡装置第1号はガリンブームの農場で孵化したヘビクイワシの幼鳥に3月22日に装着されました。‘スパイカー’と名付けられたこの幼鳥は、巣を離れて以来非常に広範囲に動き回っています。」と言っています。

装着されたハーネスは捕まえたヘビクイワシに正しくフィットし問題が起きないように確認のテストが行われました。

バードライフ南アフリカの保護マネージャー兼オッペンハイマー保護フェローのHanneline Smit博士は「‘スパイカー’に装置を着けてから僅かな時間の間に若鳥の分散と習性に関する知識が大幅に増えました。」と言っています。彼女は農民やバーダーにバードライフ南アフリカとEWTが目標地域で繁殖サイトを特定し、保護活動チームが今年の後半にさらに多くのヘビクイワシのヒナに装置を着けることが出来るよう協力を要請しました。

装置は生後8~9週間のヒナに装着するのが最善で、ヒナが成鳥になるまで生き残るなら、少なくとも2年半もつことが期待されています。本種が直面している様々な脅威を考えると、私たちは一般の人たちに死亡についての報告も求めます。

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