トヨタ環境活動助成プログラム(2012): ルソン島におけるフィリピンワシの保護

プロジェクトの背景:フィリピンの生物多様性とフィリピンワシ

フィリピンワシは、タガログ語でHaring Ibonといい、「鳥の王様」を意味しています。フィリピンの国鳥であり、世界最大の猛禽類といわれるフィリピンワシは、国民の間でも大変に人気があり、毎年6月上旬の「フィリピンワシ週間」には、全国で多くのイベントが開催されています。しかし、フィリピンワシは絶滅の危機に瀕しており、同国でフィリピンワシを目にした人はほとんどいないのが現状です。フィリピンは、かつて世界で最も生物多様性の高い国でしたが、商業伐採、狩猟、農地開発、鉱業、焼畑農業などにより、森林生態系の減少と劣化が顕著になり、フィリピンワシの生息を脅かしています。フィリピン全土の生息数は350から650羽程度と推測されています。

プロジェクト概要

本活動の目的は、ルソン島で初のフィリピンワシの生息地を発見すること、またフィリピンワシを自然保護活動のシンボルと位置づけ、市民の手で環境保全と啓発活動を促進させるものです。国民から愛されるフィリピンワシは、環境保全のシンボルとして最適であり、高い環境啓発・教育効果が期待できます。同時に、生息地である森林保全の重要性を訴求する本活動は、洪水の防止、水質浄化、気候変動の緩和など、広く市民の利益につながることが期待されています。さらに、プロジェクトの活動を通し、ルソン島でフィリピンワシを発見することにより、フィリピンワシや生息環境の森林保全がより一層前進することを目指しています。

プロジェクト対象地: フィリピン ルソン島 イリ・アンゲロ山地
プロジェクト期間: 2013年1月より2014年6月末まで
共同実施団体: ハリボン協会(フィリピンにおけるバードライフのパートナー団体)


ルソン島シエラマドレ南部


事業地の村人

プロジェクトの活動内容

(1) ルソン島シエラマドレ地域におけるフィリピンワシの生息状況を明らかにする
ルソン島シエラマドレ地域で、36年ぶりにフィリピンワシを発見することができました。ミンガン山では、1つがいと幼鳥1羽の合計3羽を確認し、イリ・アンゲロ山では、1羽のフィリピンワシの生息を確認しました。

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【写真①】発見されたフィリピンワシの幼鳥と調査の様子

(2) 啓発活動を実施し、地域の人々の、フィリピンワシや生態系に関する理解の向上をはかる
「フィリピンワシ週間」では、発見された生息地付近である、オーロラ州サンルイスルやヌエバ・エシハ州ガバルドンなどで、フィリピンワシの保全をテーマにした普及啓発イベントを実施しました。フィリピンワシが発見されたことが後押しとなり、2014年6月のイベントでは、1200人以上の人々が参加し、大盛況となりました。

(3) 活動の成果が、地元の学校教育の現場で活用される
小学生を対象に、フィリピンワシや自然環境についての教育を実施しました。実際に、授業に取り入れるため、教師とともに教材を開発し、ナカル地域の授業に取り入れることが合意されました。

 

今後は、周辺の住民や地方自治体と協力関係を構築し、発見された生息地を保護区に指定し、フィリピンワシと生息地の生物多様性を保全する活動を実施していきます。


ハリボン協会スタッフ

このプロジェクトは、トヨタ自動車株式会社の「トヨタ環境活動助成プログラム」の助成を受けて活動しています。