トキやコウノトリのように、一度絶滅した野生種を復活させることには大変な困難を伴います。バードライフ・アジアは、いまだ謎の多いミゾゴイの生態を明らかにし、繁殖地の保全を進めるため、トヨタ自動車株式会社のご支援をいただき、ミゾゴイの生態調査と繁殖地の保全活動に取り組んでいます。

繁殖地の保全

営巣地の条件として最適と考えられる環境。V字型の深い沢と沢沿いにケヤキが生え、斜面には竹林、スギ・ヒノキなどの常緑樹の林が広がる。
夏期になると、周囲はうっそうとして昼なお薄暗い。
巣は、沢底の近くから生えるケヤキの枝に掛けられることが多い。
最近では、沢の近くまで民家が接近し、こうした環境も開発により消滅しつつあります。

ミゾゴイの繁殖地は在来生物の宝庫。人の暮らしのすぐそばにある里山がミゾゴイのふるさとです。

繁殖地はいちど開発されてしまうと再生は困難です。谷や沢沿い、河岸段丘に広がる林をV 字形の地形ごと保全することが重要です。また、繁殖地には、スギ・ヒノキなどの針葉樹、ミズキ・ケヤキなどの落葉樹、カシ類などの常緑樹、竹林が混生またはパッチ状に生育していることが大切です。このような場所には、トウキョウサンショウウオ、モリアオガエル、サワガニなど多様な生物がみられます。

ミゾゴイの繁殖地を保全することは、地域の在来の自然=里山を守ることにほかなりません。とくに、繁殖地の多くは民有地であることが多いため、民有地を買い上げ保全地域に指定するなど、早急な対策が望まれます。

※写真は活動対象期間以外のものが含まれています。

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