半世紀ぶりにブロンズトキがセルビアの湿地に戻って来た

ブロンズトキ
写真提供: Lorand Vigh

50年以上見られなかったブロンズトキが、セルビアのObedska Bara湿地に繁殖のために戻って来ました。これは今年の7月初めに鳥類学者Dr Slobodan PuzovićとLoránd Vighが確認したもので、ブロンズトキ4ペアとヘラサギ6~8ペアを発見しました。ヘラサギもこのエリアでは1990年代以後見られていませんでした。

IBA(鳥を指標にした重要生息環境)でありラムサール登録湿地でもあるObedska Baraはセルビアの首都ベルグラードからおよそ30km西にあるサヴァ川岸に位置しており、かつてはこれらの種にとって欧州の重要地域と考えられていました。調査によれば19世紀末から20世紀初頭までは繁殖シーズンに4,500繁殖ペアが集まっているのが観察されていました。

ヘラサギ 写真提供: Lorand Vigh

ヘラサギ
写真提供: Lorand Vigh

「けれども、それ以後生息地の環境が急速に悪化し、ブロンズトキは1990年代に、ヘラサギは1990年代に繁殖地として全く利用されなくなりました。私たちは彼らが戻って来ることをずっと願っていましたが、遂に2016年にそれが叶ったのです。」とPuzovićは言いました。

しかし、それまでの道のりは平坦なものではありませんでした。生息地の復元計画が始まったのは1990年代でした。1992年に‘トキの帰還’と呼ばれる国際的な生息地復元活動が始まり、毎年実施されてきました。1997年にはさらにObedska Baraの沖積地にある湿性牧草地や放牧地などの生息地復元活動が開始されました。

20世紀前半には牧草地と放牧地がこの土地のほぼ3,000ヘクタールを占めていました。その後、牧草地の大部分は、牛の放牧が減ったこと、洪水の形態の変化、サヴァ川の泥の沈殿により草が生い茂る藪や林に変ってしまいました。

活動は6カ所の放棄された放牧地と湿性牧草地で行われ、藪や樹木(その多くは外来種)が除去されました。これらのエリアは今では定期的な刈り取り、根覆い、放牧がおこなわれ維持されています。活動には25カ国220人のボランティアと近隣の村々からの100人の地元住民、役人、企業が参加しました。彼らはヴォイヴォディナ自治州の自然保護協会、セルビア若手研究者、ヴォイヴォディナ自治州都市計画・環境保全事務局の指導のもと、このエリアの更なる調査も行っています。

この計画は湿性牧草地と放牧地の面積を1995年の50ヘクタールから250ヘクタール(保護区の2.5%)に増加しようというものでした。2016年現在、200ヘクタールが復元され、ブロンズトキ、ヘラサギ、その他多くの水鳥にとって良き採餌場所になっています。

ブロンズトキの雛 写真提供: Slobodan Puzović

ブロンズトキの雛
写真提供: Slobodan Puzović

同様の復元活動はこの湿地にある池や沼でも行われています。かつて3,500ヘクタールあったこれらの環境は富栄養化、泥の沈殿、泥炭その他の堆積および樹木や藪の繁茂により1,200ヘクタールに縮小しました。

これらの活動は地元住民にも恩恵を与えました。放棄された木材は燃料に利用され、牧草地も拡大したのです。

けれどもプロジェクトの成功まではまだ遠い道のりが残ってます。生息地の面積を増やし、互いにつながった状態で維持しなければなりません。これは水環境の改善と相まってサヴァ川で繁殖するブロンズトキやヘラサギ、さらに他の種の生息地を長期にわたり維持するための鍵なのです。

 

報告者: Marko Tucakov

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