欧州で最も絶滅が危惧される海鳥を守るための時間との競争

繁殖地が近付き難い事が多いためにバレアレスミズナギドリの調査は容易ではない。
写真提供: Ricardo Guerreiro

現在海鳥はもっとも絶滅が危惧される鳥類グループの一つです。欧州では特に絶滅危惧ⅠA類のバレアレスミズナギドリ(和名未定につき仮称)が絶滅の恐れのある種です。

本種の渡りは人口の多い大西洋岸に沿っているのですが(ポルトガル、フランス、英国南部を含む)、この長命の海鳥は調査が困難なことで有名です。その繁殖地であるスペインのバレアレス諸島へのアクセスができないことが多いからです。

ネズミなどの外来種による卵やヒナの捕食が起きていることは知られていますが、絶滅に向かって急減している主因として考えられているのは成鳥の生存率の低さです。

幾つかのコロニー(集団繁殖地)でネコによる捕食があるのを別にすれば、成鳥の主な死因は漁具による偶発的な混獲によることがSEO/BirdLifeの科学者により示唆されました。けれども、混獲と個体数減少を直接結び付ける科学的情報はありません。

バレアレスミズナギドリの散発的な混獲は多くの機会に記録されていますが、その中でも地中海のスペイン領海内での底はえ縄漁(針に餌を付けた長い釣り糸を使って海底近くを曳く漁法)が最大の問題です。SPEA(ポルトガルのパ-トナー)は、鳥は大西洋での渡りの間に他の漁具でも捕えられていることを明らかにしました

2004年以降、スペインおよび国際社会で本種の個体数の減少傾向を逆転するための様々なイニシアティブが行われました。その中には‘International Species Action Plan(SEO/BirdLifeとバードライフ・インターナショナルが策定)、マリーンIBAの特定(IBAは「鳥を指標とする重要自然環境」の意味。Natura 2000として保全しているサイトに引き続いている)、渡りの動向の追跡とマッピング、および、コロニーにおける外来種の管理などが含まれます。

けれどもこれらの活動の大部分は紙の上で行われただけで、現場での保護活動は非常に貧弱です。結果的にバレアレスミズナギドリの個体数は減り続けています。

2016年3月にSEO/BirdLifeも加わった複数の研究機関の共同研究の結果である本種の個体数に関する新研究が公表されました。この研究論文では個体数の最新の推定と、本種の長期的な生存可能性の予測が提供されています。現在の個体数の推定は7,000の繁殖ペアに相当する20,000~30,000羽で、30年以上にわたるモニタリング・データから本種の絶滅は60年以内に起きる可能性があると予測しています。

これは大げさな予測のように思えるかも知れませんが、実際には非常に控えめな予測なのです。この予測モデルでは繁殖ペアの数を7,000羽以上と想定していますが、現場でカウントされた数(偏差がありうる)はこれより少なく、およそ3,200ペアであることを示唆しています。

これはバレアレスミズナギドリの保護状況が改善されたり、個体数が増加したことを意味するものではありません。むしろ、個体数の生存能力の推定やモデル化の技術が改善したことを示すものです。個体数減少の傾向を逆転させ、絶滅を防ぐための時間がほとんど残されていない事から、この論文は個体数急減を招いている原因が成鳥の混獲によるものであるという科学的な証拠を提供するものなのです。

本種の混獲の性質を理解することが緊急に必要であることを念頭に置き、SEO/BirdLifeとバードライフ・インターナショナルはFondation Segréからの潤沢な資金支援を得て、カタロニア沿岸(バレアレスミズナギドリの採餌場所)で操業する漁船団との共同研究を始めました。

海鳥混獲の専門家チーム‘海鳥タスク・フォース’は2014年、何故鳥がある特定の時期にだけ捕まるのかの理由を明らかにし、漁船団の周辺で解決策の改善に向けた活動を始めました。

海鳥混獲の専門家チーム‘海鳥タスク・フォース’は2014年、何故鳥がある特定の時期にだけ捕まるのかの理由を明らかにし、漁船団の周辺で解決策の改善に向けた活動を始めました。

2016年の私たちの活動の焦点は、漁具が作用する特定の方法と、なぜ海鳥を捕えてしまうのかの理由を知ることです。これに従って私たちは漁船団のために混獲を減らす、願わくはなくすための既知の解決策を採用するでしょう。この活動は海鳥の混獲をより詳しく記録し、削減策(漁具や鳥よけ装置の改良など)を実施するためのEU全体での活動にも一致します。

水産業界と政府双方からの支援を得て実行可能な解決策が取られるならば、将来に向け、本種の保護を可能にする希望になります。

 

報告者: Marguerite Tarzia

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