かごの中にもう1羽。野生にはゼロ。

ブンチョウ
写真提供: © Tim Ellis/Flickr

新しい研究によれば、行動を起こさなければ、インドネシアの鳥を見たり、聞いたり出来る場所は、もうすぐ鳥かごの中だけになってしまうでしょう。

鳥をペットとして飼うことは、インドネシアの文化と切り離すことの出来ない文化です。町から村まで、レストラン、店、家などで籠に入れられた鳥を何度も見かけることでしょう。けれども他の多くのことと同様に、広まりすぎると手に負えなくなります。レストランにいる鳥の美しい声や、家庭で飼われている色彩豊かな鳥たちの裏で、ペットに対する尽きること無い需要によってインドネシアの鳥の個体数が激減しているのです。

この研究はインドネシアのSundaic地方で13種の鳥が極めて深刻な絶滅の危機にあることを示しました。インドネシアの国鳥というステータスはジャワクマタカを過剰な捕獲から守ったのでしょうか?いいえ、この素晴らしい種でさえも急激に姿を消しつつあるのです。

バードライフの主任研究員Nigel Collar博士が論文の共著者となっているこの研究では更に14亜種に絶滅の恐れがあることを発見しました。

ジャワクマタカ以外の他の危惧される種にはギンモリバト、オナガサイチョウ、コバタン、スンバゼイガイインコ、タンビヘキサン、ソデグロムクドリ、カンムリシロムク、キガシラヒヨドリ、ジャワメジロ、チャビタイガビチョウ、スマトラガビチョウおよびブンチョウが含まれます。

これらの危惧種のほとんどはペット目的で捕獲されますが、オナガサイチョウだけは例外です。独特の硬くカーブした古代の兜のような嘴が象牙の代用品として中国で重宝されており、そのために数千羽のオナガサイチョウが違法に殺されています。

タンビヘキサンは2013年に新種に認定されました。同時に、本種は商取引の圧力により絶滅の深刻な危機にあることが報告されました。直接の対応として、ヨーロッパ動物園・水族館協会(EAZA)の公式機関として活動する‘アジア絶滅危惧鳴禽類連合(TASA)’が、飼育下繁殖プログラムを幾つかの動物園で開始しました。

このような保護目的の飼育下繁殖は、幾つかの種にとっては最後の望みです。この研究によれば「残念ながら、5亜種は商取引が原因で少なくとも野生下では既に絶滅しているでしょう。」。その中にはオウム類の1亜種(スンバゼイガイインコ)、素晴らしい歌声のアカハラシキチョウの3亜種、及び人の声の真似で人気のあるキュウカンチョウの1亜種が含まれています。

「種か亜種かに関係なく、伝えたいことは同じです。過剰な商取引によって、インドネシアの野鳥が危険なほどの速さで姿を消しつつあるのです。その規模ともたらされた結果にもかかわらず、政府や保護団体でさえもこの問題を優先度の高い問題とは考えていないのです。さらなる絶滅を防ぐ機会さえ失われます。」とTRAFFIC(野生生物の取引を監視・調査するNGO)の東南アジア部門ディレクターで論文の共著者のChris Shepherd博士は言いました。

インドネシアにおける野鳥取引による危機の解決策はより良い法的処置、一般への認知度向上キャンペーン、現場の管理、保護繁殖、罠猟師の監視人への転換、野外や市場調査、遺伝子調査などの実施にかかっていると研究者は言います。

幾つかの人気種は罠猟のために居なくなり、その結果別の種が‘その次に人気のある’代用品として狙われます。一方で、商業ブリーダーは時に‘より商業価値のある’系統を求めて交雑を行っており、保護活動を一層複雑なものにしています。

研究者たちは商業繁殖が現状を緩和する方法として役に立つかどうか検討していますが、「理論的には魅力的なものの、商業繁殖は恐らく別の解決できない問題を生み出す」と結論づけています。

 

報告者: Shaun Hurrell

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