巨大な保護森林のジグソーパズルが完成

パズルの最後のピース: 新規に保全される西シエンパン森林の鳥瞰図。写真は'trapaeng'森林プールを示す。
写真提供: © Jonathan Eames

写真はラオス、カンボジア、ベトナムの国境をまたぐ70万ヘクタールの広大な自然地域です。野生生物と地元コミュニティが栄え、一体となって東南アジア最大の保護景観の一つを形成しています。

過去2年間、世界で最も価値のあるジグソーパズルのピースの一つが欠けていました。カンボジア北部の西シエンパンと呼ばれる広大な落葉樹の森林地域です。

今回この地域が遂に本来の場所に加わりました。新しいPrey Siem Pang Lech野生生物サンクチュアリにようこそ。

この新しく保全対象となった森林では絶滅危惧ⅠB類のターミンジカが歩き回っているのを見ることが出来、更に、絶滅危惧ⅠA類の鳥類が5種繁殖しています。その中には世界の個体数の50%ものカタシロトキ、同じく10%のオニトキが含まれます。また、砂地には不向きなバイクで毎日広大な地域を見回り、重要な森林内の水辺環境を熱心にモニタリングし、違法な伐採を告発し、木材や野生生物を没収する法執行チームと共同で活動しているバードライフのチームに出会うでしょう。Mem Maiのような一部のレンジャーは以前はハンターで、耳が訓練されているので、バイクのエンジン音の中でも鳥の声を聞き分けることが出来るのです。

プロジェクト・オフィサーのEang Samnangに尋ねれば、彼は絶滅危惧ⅠA類の3種のハゲワシの巣の正確な場所を教えてくれるでしょう。あるいはカンボジアでは、彼らが作ったハゲワシに餌を提供する‘ハゲワシ・レストラン’を利用するハゲワシが73%にも上る理由を説明してくれるでしょう(野生の大型哺乳動物の減少しているため)。

地方の村では村落支援オフィサーのDina Yamが野生生物の毒殺を防ぐための教育用フィルムを見せたり、ウシや水牛の群を育てる支援をしているのを見るでしょう。最近、カンボジア・チームと林業当局は、農園開発のための森林伐採を防ぐために、経済的土地利用権を放棄しましたが、この行動によって保護状況は確実に一歩前進しました。

バードライフ・カンボジア・プログラムは西シエンパンを守るために何年にもわたり熱心に取り組んできました。2014年には同地区の北半分が保護森林の指定を受けたのです。けれども、今週森林の残る南半分の65,000ヘクタールにPrey Siem Pang Lech野生生物サンクチュアリが作られるまでは、パズルは未完成だったのです。

西シエンパンにようこそ

カンボジアのフン・セン首相は、5月9日にPrey Siem Pang Lech野生生物サンクチュアリを設立する法令に署名をしましたが、このサンクチュアリの境界線はほぼバードライフの提案に沿ったものでした。今回、この境界線によりラオス南部、カンボジア北部、ベトナム西部の森林をつなぐ地域保護区のパズルが完成したのです。

この新しい法令では西シエンパン森林の北半分を単なる‘保護森林’というくくりから格上げし、全地域132,321ヘクタールを野生生物サンクチュアリに指定しました。

「私たちはこの決定に喜んでおり、バードライフのカンボジア・チームはこの野生生物サンクチュアリを管理するために環境省を支援するつもりです。」とバードライフのカンボジア・プログラムのマネージャーBou Vorsakは言いました。「この成功は政府機関の農業・林業・漁業省の林業局、環境省の自然保護総務局との緊密な連携に由来し、何年にもわたるマッカーサー財団のゆるぎない支援のお蔭です。」

「私の部署がこの保護区の指定プロセスを始めたことを誇りに思います。」と林業局野生生物・生物多様性課の長であるKeo Omaliss博士は言いました。「私の博士課程の研究の一部であるオニトキの研究に携わった人たちと同じように、この絶滅危惧ⅠA類の種の個体群の安全がさらに高まったことを喜んでいます。カンボジア王国政府は近い将来より多くの保護森林を作ることを約束しています。」

新たに保全された西シエンパンの森林を歩き回る絶滅危惧ⅠB類のターミンジカ 写真提供: © Jonathan Eames

新たに保全された西シエンパンの森林を歩き回る絶滅危惧ⅠB類のターミンジカ
写真提供: © Jonathan Eames

バードライフが政府と森林の管理計画作成を行うのに伴い、サンクチュアリの境界設定のプロセスの資金としてマッカーサー財団とダーウィン・イニシアティブからの新規の助成金が重要になります。

環境省の陸上保護区局の責任者Kong Kim Srengは「私はPrey Siem Pang Lech野生生物サンクチュアリが指定される際の最後の役割を果たす出来たことを大変嬉しく思います。私はこの保護区を地に足の着いたものにするためにバードライフと緊密に活動をすることに期待しています。」と言いました。

自然地域の保全はしばしば野生生物の利益と人の利益の間の争いの場になることがあるが、それは間違いだ。

絶滅を危惧される鳥にとっての価値と地元の人々にとっての西シエンパン森林の価値、その両方を理解することによってのみ、この森林の将来が保証されるのです。

‘trapaeng’ へ出発 写真提供: © Shaun Hurrell

‘trapaeng’ へ出発
写真提供: © Shaun Hurrell

西シエンパンは人と自然の関係を大変簡潔に説明します。広葉樹の森の下に散らばる’trapaeng’と呼ばれる季節性の水溜りが人にとっても野生生物にとっても不可欠です。乾季にはこれらのtrapaengはほぼ全て干上がります(特に水牛が泥浴びをするために近くに居ない時)。けれどもこれらは人にも鳥にも同様に、水やカエルや魚など資源の源、木材以外の森林からの恵みを提供します。この共通の利益を認識して、バードライフは地元住民と共同で活動を行い、10年かけてトキ類、シカおよびガウル(ウシ科)、バンテン(ウシ科)、ウンピョウ(ネコ科)、アカアシドゥクラングール(オナガザル科)などの他の絶滅が危惧される野生生物などと並んでこの大切な水溜りを保全するための‘Trapaeng管理協定’に賛成した地元保全グループ(LCG)のネットワークを作りました。

このこと全てが、もちろんジグソーパズルのピースを所定の場所に置くような簡単なことではないことを示していますが、バードライフのカンボジア・プログラムは間違いなく良い方向性を示すものです。

「長い年月の忍耐が遂に実ったのです。」とバードライフ・カンボジアのJonathan Eamesは言いました。

 

報告者: Shaun Hurrell

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