地元コミュニティはどうすれば絶滅危惧種の鳥とその生息地を守ることが出来るか?

IBAの世話人が環境や種への脅威をいち早く把握することが、自然へのダメージを防ぐためのVBN(オランダのバードライフ・パートナー)の迅速な行動につながる。
写真提供: Gerard Hund

冬の間、オランダには最大で推定5百万羽の渡り鳥が滞在します。特にオランダの湿地は多くの種を呼び寄せます。こうした湿地の多くはIBA(鳥を指標とする重要自然環境)に指定されていますが、それはこれらの湿地が重要な渡りのルート上に位置し、平均的な冬には大きな淡水湖が結氷しないからです。

フェルウェランドメレンはそのようなIBAの一つです。4つの湖がオランダのフレヴォラント州とヘルターラント州の境界に位置し、ここは冬の間数千羽のコハクチョウ(EUでは絶滅危惧ⅠB類)が越冬することでよく知られています。同IBAはオオヨシキリの保護区にも指定されています。本種はオランダで急速に数を減らしていることから同国のレッドリストにも掲載されており、2015年にはおよそ100つがいになってしまいました。

地元住民のMartin Jansenは2015年に、ドロンテル湖の沿岸の葦原地域がオオヨシキリの繁殖地である可能性が高いのにもかかわらず、毎年刈り取られていることに気が付きました

Jansenは葦原の刈り取りがオオヨシキリに及ぼす悪影響について話し合うために地元の自治体に連絡を取りました。2週間のうちに彼は自治体の代表と一緒にサイトを訪問しました。所轄の自治体ドロンテンはこの特別なサイトがオオヨシキリにとって非常に大切な場所であることさえ知らないことが分かりました。

Jansenが働きかけたお蔭で、自治体は直ちに行動を起こし、この地域の葦原を刈り取る契約を取り消しました。その結果、葦原はオオヨシキリにとってこれまで以上に良い繁殖環境になり、サイトの管理も改善されたのです。

ではどうしてJansenはこのような目に見える違いをこれほど速やかに行うことが出来たのでしょうか?VBN(オランダのバードライフ・パートナー)のIBA世話人ネットワークのお蔭なのです。

オランダの自然保護法には優れた法的枠組みがあるのですが、それでも多くのIBAが圧力を受けています。湿地に対する脅威にはインフラ開発、集約的農業と漁業、ある種のレクリエーション施設、風力発電施設などがあります。

これらのサイトが鳥類にとって国内外で重要であることを認識しているVBNは、湿地の保全(及び、可能であれば復元)を優先課題の一つにしました。VBNはザイスト(オランダ中央部)にあるたった1つの事務所で活動しているので、地元のボランティアと共同で活動することはオランダの湿地を保全する上で極めて重要なのです。これが、VBNが1995年にIBA世話人ネットワークを開始した理由です。

過去20年にこのプロジェクトは成長し、およそ72のIBAに集中して活動する85人の熱心で経験豊富なボランティアの有用なネットワークになりました。これらのIBAは全てナチュラ2000サイトに指定されています。

このネットワークの主目的は、起りうる脅威をモニタリングして、早期にこれを発見することにより湿地の保全活動を改善することです。IBA世話人は野外におけるVBNの目と耳です。彼らは鳥や他の種に対してサイトの質に重大な負の影響を与える可能性のある開発行為があれば、これをVBNに知らせます。彼らは時にはVBNと共同で自然へのダメージを防ぐために直ちに活動を起こします。

脅威をモニターする以外にも、IBA世話人は地元コミュニティが自然とかかわりを持ち、長期的にサイトの保全を確実に行うように彼らを活動に巻き込みます。VBNはボランティアと知識と経験を共有し、彼らにどうのように地元での自然保護活動に助言し、啓蒙活動や、法制化、種の保護に関する訓練を企画します。

うまくいくでしょうか?結果が物語っています。Jansenのドロンテル湖での働きかけにより、ここでのオオヨシキリの前年の繁殖個体数は13つがいと安定していました。「注目に値するのは13の繁殖ペアのうち5ペアが刈り取りを行わなかった葦原に営巣したことで、これは去年にはなかったことです。このようにすぐに結果が出たのは素晴らしいことです。」とJansenは言いました。

 

報告者: Andrea Kuiper

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