バーダーを魅了するコマホオジロ

蜜雲(みゆん)貯水池のコマホオジロ
写真提供: Terry Townshend/Birding Beijing

アジアで最も希少な鳥、コマホオジロ(Emberiza jankowskii)が中国の首都、北京の近郊で発見されました。絶滅の危機にあるこの珍鳥が北京で記録されたのは実に75年振りです。

コマホオジロ1羽が2016年1月9日に二人の若い地元のバーダーXing ChaoとHuang Mujiaoにより首都北京の北東80キロにある蜜雲貯水池で発見されました。1月13日までに数個体が確認され、15日には何と9羽も観察されました(これまでの北京近郊での記録は1941年の冬、サマーパレス=頤和園付近で確認されたオス2羽が最後でした)。

シベリアに追放された19世紀のポーランド人動物学者Michel Jankowskiの名前から付けられたコマホオジロ(英語での別名Jankowski’s Bunting)は1970年代の初めから急激に減少しましたが、その理由は草原環境の耕作地への転換と家畜の増加によるものと考えられています。この美しい鳥の生息地は現在中国北東部の限られた場所しか知られていません。本種は、以前は北朝鮮の北東部(現状は不明)と極東ロシアの最南部(1970年代以後記録なし)にも生息していました。現在本種は絶滅危惧ⅠBに指定されています。

北京在住でバードライフの‘種の保護者’プログラムでコマホオジロを守る英国人バーダーのTerry Townshendは次のようにコメントしています。「北京にはあまり大勢のバーダーが居ない事を考えると今までコマホオジロが見過ごされていた可能性はあります。けれども私は、今冬は例外なのではないかと考えています。去年政府が北京への飲料水を提供する密雲貯水池周辺での作物栽培を禁止しました。ですから付近は未耕作地域になっていました。草や他の野生の植物が種を沢山実らせ、数多くの小鳥を引き寄せました。その中には11月末に北京で最高記録となった5,600羽のツメナガホオジロの群も含まれます。

香港バードウォッチング協会/バードライフ中国プログラムと中国バードウォッチング協会は過去数年に亘り内モンゴルのコマホオジロの繁殖地で活動を行い、2014年に行われた調査では9ヶ所の新しい繁殖地を発見しました。加えてコマホオジロへの関心を高めその保護のために地元当局との会合を行い、主要繁殖地の周辺地域にある学校や村で教育活動を行いました。

バードライフ・アジア・ディビジョンの上級保護オフィサーのマイク・クロスビーは「北京の近くでほとんど知られていないコマホオジロの小さな群の発見は勇気づけられるニュースで、少なくとも本種の個体群の一部が冬季には繁殖地を離れて南へ数百キロ移動していると考えられます。彼らの越冬地に関する理解を深めることはこの絶滅危惧種のための継続的な保護活動のために、この鳥の越冬地についてさらなる知見が必要です。」と言いました。

 

報告者: Ed Parnell

本文はこちら

  1. TOP
  2. 世界のニュース
  3. バーダーを魅了するコマホオジロ