2015年レッド・リスト: ハゲワシ、シギ・チドリその他の象徴的な鳥

オナガサイチョウは’象牙状’の頭部と羽根の大規模な商取引により絶滅危惧ⅠA類に格上げされました。
写真提供: Muhammad Alzahri (Arinature Photography)

アフリカのハゲワシ類の苦境は2015年のレッド・リストの更新内容の大きなニュースでしたが、その他の多くの重要な変更も今年注目を集めました。

世界全体では40種が2015年版のレッド・リストで新たに絶滅の危険が高まったとして分類し直されました。そこにはハゲワシ類の他、多くのシギ・チドリ類やオナガサイチョウ、オトメインコ、ニシツノメドリ、コキジバトなどの象徴的な種が含まれています。

これに対して、23種がこれまでよりも絶滅危惧度の低いランクに分類されました。これはそれらの種の状況がより明らかになった結果である場合もありますが、セーシェルヤブセンニュウやチャタムミズナギドリなど保護活動の結果目覚ましい回復を遂げた結果である種もいます。

2015年レッド・リスト更新版では24種の鳥がこれまでよりも絶滅のリスクが高まった(絶滅危惧Ⅱ類、絶滅危惧ⅠB類あるいは同ⅠA類)と分類され、そのうちの7種は最も絶滅のそれが高い絶滅危惧ⅠA類に格上げされました。その他16種がこれまでの軽度懸念種(最も危惧のレベルが低いもの)から準絶滅危惧種に格上げされました。一方、23種がこれまでの危惧度のカテゴリーから格下げになっています。

絶滅危惧ⅠA類に格上げされた7種

-ズキンハゲワシ: 絶滅危惧ⅠB類から絶滅危惧ⅠA類に格上げ

-コシジロハゲワシ: 絶滅危惧ⅠB類から同ⅠA類へ

-カオジロハゲワシ: 絶滅危惧Ⅱ類から絶滅危惧ⅠA類に格上げ

-マダラハゲワシ: 絶滅危惧ⅠB類から同ⅠA類に格上げ

-オナガサイチョウ: 準絶滅危惧種から絶滅危惧ⅠA類に格上げ。

東南アジアの熱帯林の深刻な喪失と並んで、本種は羽根と堅い‘象牙状’の兜のような突起が手工芸品に使われ、中国との取引のためにハンターのターゲットになっていることが分かっています。以前は本種はなかなか姿を見せないことにより、数世紀に亘って狩猟で捕獲される率は低いと思われていましたが、最近の報告では本種が大規模な商取引の対象になっていることが指摘されています。

-オトメインコ: 絶滅危惧ⅠB類から絶滅危惧ⅠA類に格上げ。

越冬のためにオーストラリア本土に渡る前にタスマニアで繁殖。広範囲にわたる生息地の喪失(繁殖地、越冬地の双方で)の影響を受けていることや、2014年には本種が繁殖地において外来種のフクロモモンガの深刻な脅威にさらされていることが報告されています。

Chestnut-capped Piha(和名未定、カザリドリ科ムジカザリドリ属の鳥): 絶滅危惧ⅠB類から絶滅危惧ⅠA類に格上げ。

この灰色の鳴禽類はコロンビアの中央アンデスの北斜面に少数の森林個体群として250羽以下が確認されているだけです。この地方の継続的な森林劣化と建設、農業、商業農園のための開墾が本種への広範で長期に亘る脅威となっています。

渉禽類の減少

オバシギ、ホウロクシギを含む8種の渉禽類は格上げされました。絶滅危惧Ⅱ類から同ⅠA類となったこの2種は東アジア-オーストラリア・フライウェイを利用しており、東アジアの黄海地域での干潟の中継地の喪失という強い圧力を受けています。黄海の干潟環境の65%が過去50年の間に失われ、残された場所も今農業、水産養殖業、その他の開発行為により年1%の速さで消失しています。

もっと広範囲に生息している他の渉禽類も軽度懸念から準絶滅危惧種に変更されました。オオソリハシシギ、コオバシギ、サルハマシギも上述の2種と同じ理由で東アジアとオーストラリアで減少していますが、これらはアフリカからアメリカ大陸にかけての他の広い範囲でも減っています。

ヨーロッパに集中して分布しているタゲリとミヤコドリも準絶滅危惧種に格上げされましたが、その要因はそれぞれ繁殖地の草地環境の喪失と彼らの餌である貝類の乱獲です。

主な成功例

合計で23種が格下げされました。けれどもこのような変更の全てが種の状況改善によるものだった訳ではなく、多くは個々の個体群に関する知見が増え、当該種の生息状況についてより正確に分かったことが理由です。

一方、保護活動が特別な成功を収めたのはセーシェルヤブセンニュウです。かつて世界で最も稀な鳴禽類の一種だった本種は、人による攪乱によりわずか0.3平方キロの小さなカズン島の26羽にまで減ってしまった1968年より以前には、セーシェル諸島の多くの島に生息していました。カズン島はその年に国際鳥類保護会議(ICBP: バードライフ・インターナショナルの前身)が買い上げたのです。

ヤブムシクイの森林の回復のためにヤシのプランテーションを除去したり、セーシェル諸島のうちの4島に移住させたりなど集中的な保護管理を行った結果、2014年には個体数が2,800羽に達しました。保護活動家は将来7,000羽まで増加することを期待しています。このような取り組みの結果、本種は絶滅危惧Ⅱ類から準絶滅危惧種に格下げされました。

また1975年には繁殖ペアがわずか1,000組になってしまった世界で最も希少な海鳥のアカハシカモメも、主としてスペイン北東部のエブロ・デルタの繁殖コロニーの保全により準絶滅危惧種から軽度懸念種に状況が改善されました。現在では地中海西部に2万ペア以上が生息しています。

チャタムミズナギドリはニュージーランド南東沖400マイルの孤島チャタム諸島でのみ繁殖します。多くの太平洋の海鳥と同様、本種もネコやドブネズミなどの外来の捕食哺乳動物の影響を大きく受けてきました。20世紀の後半にはチャタムミズナギドリはより数の多いヒロハシクジラドリ(ミズナギドリ類の一種)との営巣地を巡る争いという新たな脅威に直面しました。その結果チャタムミズナギドリの個体数をおよそ年率1%で減少し、1995年には個体数がわずか600~800羽になりました。そのため本種は絶滅危惧ⅠB類に指定されました。しかし、巣穴蓋(チャタムミズナギドリは通ることが出来るがクジラドリには出来ないもの)の設置や、二つの捕食動物のいない島への移住などの保護対策により、本種は絶滅危惧Ⅱ類に格下げされたのです。

 

報告者: Adrian Long

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