EUがアフリカの野生生物を守るための全面的な戦略を計画中

アフリカ大陸の絶滅危惧ⅠA類の一つアフリカコシジロハゲワシ
写真提供: Lip Kee Yap/Flickr

2013年にバードライフは‘アフリカの鳥の現状’を発行しました。これはアフリカの鳥が直面している脅威に関する最初のアセスメントでした。それによれば、何とアフリカの鳥のうちの16%が世界的な絶滅危惧あるいは準絶滅危惧種で、そこには絶滅危惧ⅠA類のタイタイロムシクイや8種のアフリカのハゲワシ類が含まれています。

これは鳥だけのことではありません。このような減少の主因は、農業の拡大による生息地の喪失と劣化、狩猟、動物の部位と植物の密売、人口増加(そしてハゲワシの場合は薬殺も)などで、アフリカの種の大部分に影響を及ぼしました。特に密猟と密売は政治的な注目を集めていますが、主として1930年代の個体数5~10百万頭が50万頭になってしまったゾウ、この20年で30~50%が姿を消したライオンなどに関連しています。

この‘野生生物の絶滅危機’に応じて欧州委員会は新しい戦略を計画中であり、その全体的な目的はサハラ砂漠以南のアフリカの特別な野生生物遺産の‘一連の存続可能な個体群’を、健康で機能し、生計と人の発展を支援する回復力のある生態系として維持することにあります。

ゾウよりも巨大なもの: EUのアフリカにおける野生生物保護のための戦略的アプローチへの投入はこのEU‘アフリカの野生生物保護戦略’開発の第一段階で、9月9日に欧州委員会の国際協力・開発総局(DG Development Cooperation)により発表されたEUの旗艦プログラムである‘EU生命のための生物多様性’の一部です。この戦略はこれからの10年に野生生物への主要な脅威を明らかにし、適切な対応を取ることを目指します。

同文書は鳥を含む‘象よりも小さい種’に対する課題を明確に認識しています。特にコキジバトやニシブッポウソウなどの急減しているアフリカ:旧北区間の渡り種に取り組みます。同文書はより正確な渡り鳥の追跡調査とモニタリング、彼らの死亡原因の特定、越冬地および中継地の保全、湿地サイトの保全の増加、サハラ地域での鳥に優しい森林再生を確実に行うことなどの必要性を明らかにしています。

けれども野生生物の絶滅と密猟の防止は不十分です。しばしば注意が不十分で、この戦略が取り組みを目指している別の問題があります。土地の劣化や、水資源の汚染や牧草地と生物多様性の喪失などの生態系サービスの破壊です。

私はアフリカの地方の生計は自然資源と生態系サービスに偏って依存していることを知っています。‘アフリカの鳥の現状’のなかで、前ボツワナ大統領は「地方の生計改善のために鳥がもたらす社会・経済的貢献」に言及しました。ですから、関心を喚起し自然保護問題(共に個別の種と持続可能でない資源利用に関係する)の解決策を見つけるために地方のコミュニティと共同で活動することは‘生計手段と人的開発’を支援するこの戦略の全体的な目標を達成することになります。

アフリカとヨーロッパのバードライフ事務局はこの戦略の策定に緊密に関わって行きます。渡り鳥の保護を改善するために、バードライフはアフリカ:ユーラシア水鳥条約(AEWA)、アフリカ:ユーラシア陸生渡り鳥行動計画(AEMLAP)およびこれから決まる‘コキジバトへの種の行動計画’などで、戦略と手段の間の中継ぎ業務を行う予定です。

 

報告者: Marion Klein and Kate Hand

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