キプロスに新たな殺戮の季節?

トリモチに掛かったセッカ写真提供: BirdLife Cyprus
もし2014年の秋にキプロスで見たことが何かを示すとするなら、キプロスを通過する大部分の鳥には直面する16kmに及ぶカスミ網と6,000ヶ所を超えるトリモチに抵抗するチャンスが殆どないことになります。
これら二つのトラップ方法はキプロスでも欧州レベルでも違法なのです。それらは無残なもので、電子バード・コールに疑いもせず引き寄せられた鳥は翼や足をどうすることも出来ずに絡み取られてしまいます。犠牲になった鳥の一部は体力が消耗するか殺戮者の手で殺されるかする前に何時間も逃れようともがきます。
バードライフ・キプロスによれば2014年秋には2百万羽を超える野鳥が密猟で殺されました(年間通算では250万羽)。キプロス島で罠に掛かった152種の鳥のうち、78種はサヨナキドリ(=ナイチンゲール)やコノハズクなどの絶滅危惧種です。この数が示すのは、キプロス共和国や、イギリスの統治権が及ぶイギリス主権基地領域(SBA)では、状況が制御不能になっているということです。
キプロス共和国ではカスミ網もトリモチも1974年以来禁止されています。法律でも罠猟で捕えた鳥の商取引や保有がレストランでも家でも禁止されています。しかし、実際には地元の人もビジターも一部のレストランに行き‘アンベロポウリア’を注文することが出来ます。この伝統的な料理は主にグリルしたり、酢漬けにしたり、ボイルされた鳴禽類の鳥です。けれども、これが産業規模となり、組織犯罪に結びついているとなると最早‘伝統’とは言って居られません。
2014年末にSBA管理機関はカスミ網のホットスポット・エリアの一つケープ・ピラで活動の一環としてアカシアの除去を始めました。罠猟師は猟のために鳥を呼び寄せる目的で何年にも亘りこのエリアで外来種のアカシアを植え、水をやって来ました。SBA管理機関によるアカシアの除去を続けることがバードライフ・キプロスが完全支援をしている、密猟を根元から絶つ活動の鍵です。
RSPB(英国のバードライフ・パートナー)の国際ディレクターのティム・ストウ博士によれば、「これほど大掛かりな違法活動に対しては全てのキプロス当局が共同で戦う必要があり、SBAも鳥の密猟にはいかなる違反も認めないという態度で臨むべきです。SBA当局が去年の12月からアカシアの除去を始めたのは喜ばしいことです。」
バードライフ・キプロスもこれらの違法行為と戦うために教育活動や意識向上を含む体系だった方法での全ての利害関係者を交えた‘戦略的行動計画’を開始しました。キプロスでは計画の採択はこれからで、一方SBAでは計画は採択されたものの、現実にはカスミ網猟は2014年秋に記録的なレベルで行われました。効果が上がるためには計画が直ちに採択され、その実施により進展があるようにすべての関係者が参加しなければなりません。
鳥の密猟はそれがなければ美しい国キプロスに国際的にマイナスの評判を与えてしまいます。2011年にキプロスの環境NGOのTerra Cypriaが行った研究で示されたように、毎年4千万~1億ユーロの観光収入を密猟が原因で失っていることを考えると、密猟は経済的にも理に適っていません。これに対してキプロス狩猟協会が試算したように、密猟の‘ブラック・マーケット’の犯罪収入は1,500万ユーロ程度なのです。ヨーロッパ全土で予算が厳しくなっているこの時、この犯罪に共に立ち向かうのは全てのキプロス人にとって長期的な経済的利益になるものでしょう。
(報告者: リサ・ベネデッティ)
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