各国政府は自然保護区で失敗を続けている

ケニアのタナ川デルタは自然にとって極めて重要な場所ですが保護が完全ではありません。 写真提供:Michel Laplace-Toulouse; www.africanlatitude.com

各国政府は自然保護区のネットワーク拡大では進展を行っているものの、自然を適切に守ることには失敗を続けていることが新しい研究で明らかになりました。

2010年に各国政府は2020年までに世界の陸地の17%、海洋の10%を保全するという約束をしました。この目標を達成するための5年間が過ぎましたが、バードライフの主導による26の機関からの40人の執筆者による新しい調査によれば、現在の保護区のシステムは全ての重要サイト、種、生態系をカバーするにはまだ成功していないことを示しています。

「私たちはこれまでで最も広範囲にわたり保護区がどの程度自然を上手くカバーできているかについての分析を行いました。私たちはほぼ1万2千カ所の重要サイト、千ヵ所を超える陸上と海洋の生態地域、今回初めて行われた海洋生物種のアセスメントを含む2万5千種の動植物の解析を行いました。」とバードライフの科学部ヘッドでこの論文の主筆者のスチュアート・バッチャート博士は言いました。

「この研究により保護区の設置により完全にカバーされている自然の重要サイトは僅かに5分の1だけで、3分の1は何らの保全も行われていないことが明らかになりました。」

更に、哺乳類、両生類、マングローブ、各種の海洋生物の半分以下しか現在の保護区のネットワークによりその分布域で十分には守られてはおらず、その中でも鳥類とサンゴ類を加えた絶滅危惧種の保全率はこれを下回っています。

国際的に採択された目標を達成するための適切な自然の保全範囲を確保するには現在の保護区ネットワークを陸地については2倍にしなければならないでしょう。「困難なのは自然保護のために最も保全する必要のある陸地は貧困国にあることで、そのためには保護による利益に配慮することが特に関係して来るでしょう。」と論文の教書者、国連環境プログラムの‘世界自然保全モニタリング・センター’科学部ヘッドのネイル・バーガス博士は付言しました。

「保全陸地・海洋をこのレベルまで拡大するには、より深い認識と原住民およびコミュニティ保護エリア、民間保護区、土地トラストおよび保全の成果を提供する持続的に管理されたエリアの一層の確立が必要でしょう。」とIUCN(国際自然保護連合)の科学・知識部ヘッドのトーマス・ブルック博士は言いました。

「この研究は世界の政府と保護活動家への警鐘になるはずです。2020年ターゲットを達成するには自然に対する重要サイトに目を向けた効果的な保護区の認識と指定を急ぐことが必要です。」とバッチャート博士は結びました。

(報告者:マーチン・フォーリー)

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