異常気象への回復力: 生態系の役割

適応計画に生態系の全体的統合を求めたエドワード・ペリー
写真提供: バードライフ
先週フィリピンを襲った台風ハグピート(日本では22号)は異常気象が既に社会に与えている影響を思い起こさせるタイムリーなものでした。各国が危険な気候変動を防止するために必要な炭素排出削減に失敗するに従い、問題は深刻化するでしょう。
リマの‘リトル・ペンタゴン’には、国連気候会議の崖っぷちで、どのようにしてこのような異常気象に対する人類の回復力を構築するかについて、世界70ヶ国からの参加者が話し合うために集まりました。バードライフとRSPB(王立鳥類保護協会: 英国のパートナー)が共同開催したサイド・イベントでは特に生態系が果たすことが出来る潜在的な役割に目を向けました。
‘アマゾン持続可能性基金’のCEO、Virgilio VianaとRSPBのワーキング・グループのメンバーは最近発表された報告‘異常気象への回復力’をここで提示しました。この報告書の内容の一部はバードライフによる‘東アフリカにおける適応のための生態系保全’に関するダーウィン・イニシアティブ・プロジェクトおよびウガンダのプロジェクト・サイトEchuya森林を訪れた結果によるものでした。
報告書では、‘回復力’という概念はしばしば工学的なアプローチと関連付けられていますが、生態系をベースとしたアプローチ、およびそれらを混合したアプローチは費用対効果が高いだけでなく、生物多様性の保全や他の危険から守ることなどの付随的利益をもたらすことを報告しています。また、特に生態系をベースとしたアプローチについては、証拠に基づき十分に情報提供が行われた政策策定を行うために、気候変動への適応のためのより効率的なモニタリングと評価の必要性を強調しています。
政策策定者と実行者の公開討論会ではVianaのプレゼンに対する応答と追加の洞察が提供されました。UNFCCC事務局のナイロビ作業プログラムのコーディネーターXianfu Luは、生態系がどのようにUNFCCCの規定に‘彫り込まれて’いるかを示し、生態系をベースとしたアプローチのデータベースなどナイロビ作業プログラムの下で様々な知識成果物が開発されていることに言及しました。
IIED(国際環境・開発機構)のフェローSaleemul Huqは、コミュニティベースの適応策と生態系をベースとした適応策は相互に依存するもので、別々に活動するように取り扱うべきではないと強調しました。また彼は、気候変動への適応の政策決定段階でコミュニティを排除することの危険を警告しました。
ケア・インターナショナルの気候・環境ディレクターのKit Vaughanは気候変動への適応のスケール拡大のためにボトム・アップ・アプローチと、政策に生態サービスをより総合的に計上するための必要性を言及しました。彼は成功の鍵は基本的に政治経済学に依存しており、正しく統治することにあるだろうと強調しました。
ケニアの環境・水・自然資源大臣のStephen King’uyuは、気候変動への適応のためのより望ましい財源、モニタリング、評価および法的な枠組みの必要性を述べました。彼は同国の気候変動行動計画と他の部門の政策を通して、気候変動に対する適応策に生態系を統合したことによる成功とその経験を強調しました。
バードライフのエドワード・ペリーは、気候変動の適応策についての計画に、生態系の観点を統合することを求めました。適応策は、生態系をベースとした適応策の介在、種や生態系が気候変動に適応するために必要な活動、生態系のサービス(恵み)が今後も確実にもたらされること、そして工学的アプローチに伴う生態系への潜在的影響を最小限に止めることなどを考慮したものである必要があります。彼は、気候変動に対する2015パリ合意は、あらゆる気候変動への取り組みが確実に自然と調和するものにし、また‘カンクン適応枠組み’に基づき、また強化されたものとし、さらに土地利用セクターが気候変動への緩和、適応、生計手段や生物多様性の恵みをもたらす際に果たすことのできる役割を認識することで、正しい方向へ進むための重要な機会となると述べました。
(報告者: マーチン・フォーリー)
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