欧州医薬品庁は11月30日までにキラー・ドラッグについての判断を迫られている。欧州はハゲワシとワシ類の救出に近付いているのか?

数ヶ月に亘る苦労の末、欧州委員会は欧州医薬品庁(EMA)に対してジクロフェナクを含んでいる獣医薬の使用によるハゲワシの個体群への危険を査定するよう命じました。これは大きな進展で、アジアでハゲワシの個体群を一掃したキラー・ドラッグの欧州での使用禁止の道を開くものです。バードライフ・インターナショナルとハゲワシ保護基金は全ての関連団体に2014年10月10日までにEMAに対して科学的証拠を提出するようアピールしています。

ジクロフェナクは家畜のための抗炎症薬ですがハゲワシやワシ類を殺してしまいます。インドでは周辺4ヶ国でその使用が禁止される以前に、同国のハゲワシの個体数99%減少の原因でした。信じがたいことに、ヨーロッパでは家畜へのジクロフェナクの使用がまだ認められているのです。エストニア、イタリア、スペインでは牛、豚、馬への使用が、チェコとラトビアでは馬に限り使用が認められています。ジクロフェナクはイタリアのFATRO社が販売を行っており、非ステロイド系抗炎症薬の危険を査定するためのEUのガイドラインでの抜け道として使用が認められました(注: ジクロフェナクは人への副作用が大きいステロイド系ではないので、安全性の高い鎮痛剤として広く使われている)。

欧州医薬品庁(EMA)は今回この問題についての公の協議を行うことにして、全ての専門機関にごみあさりをする鳥、獣医の慣行、および動物の副産物の処理に関する情報提出を指示しました。この決定により欧州委員会は欧州での獣医用ジクロフェナクの使用禁止キャンペーンを主導しているバードライフとハゲワシ保護基金(VCF)が取り上げた事実を認めました。

VCF会長José Tavaresの言: 「この薬品をそのままにしておくことは出来ず、EUはイタリアやスペインなどで起きている事実を認めるべき時です。例え厳しい獣医への処方システムがあったとしても、獣医が全ての動物の死体処理がどのように行われたかを監視することは不可能です。スペインではブタ、ヒツジ、ヤギなどが野外で死ぬと、農家がこれに気付く前にハゲワシが先にやって来ることが度々あります。」

バードライフの欧州・中央アジア地区保護活動ヘッドIván Ramírezの言: 「私たちは今回のEUの決定を歓迎し、バードライフのパートナーに感謝します。私たちのハゲワシ専門家はEMAへの回答についての作業を進めていますが、私たちはジクロフェナクの即時禁止へのあらゆる要求を行うことが重要です。安全な代替薬があり、私たちはハゲワシにとって獣医用ジクロフェナクが如何に危険なものかを知っています。私たちは欧州でのジクロフェナク禁止が実行されるまで活動を止めるつもりはありません。」

(報告者:エロディー・カンタルーブ)

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