カンボジアでのハゲワシの調査で懸念すべき傾向が明らかに

ハゲワシ類は最も絶滅が危惧されている鳥のグループの一つで、
アジア、アフリカ、ヨーロッパ全域で個体数が減っています。
写真提供:Jonathan C Eames

ハゲワシの年次個体数調査がカンボジアの7カ所のサイトで行われましたが、結果は調査が始まった2004年以来2番目に低い推定個体数が記録されました。

西シエンパンとプレアヴィヒア森林保護区でカンボジア内の総個体数の97%が記録されました。

記録されたハゲワシの総個体数155羽のうちのほぼ80%がバードライフの‘希望の森’プロジェクトのサイトである西シエンパンでカウントされており、ここがカンボジアで最大、最重要なハゲワシの採食地(ハゲワシ・レストラン)であり、特にハシボソハゲワシにとって唯一の重要なサイトであることが確認されました。カンボジア東部の残りの5ヶ所のサイトで記録された数は最大で僅か26羽でした。

「私たちはカンボジア最大のハゲワシ・レストランを主催していることに誇りを持っています。何故ここが最重要地になっているのかについては幾つかの説明が可能ですが、西シエンパンの森林には家畜の牛や水牛の数が多く、それに加えて、バードライフが月に2回定期的に2ヵ所のハゲワシ・レストランで餌(家畜の死骸)を出していることによるのでしょう。ハゲワシはレストランの開所日が近くなるとその周辺に居ることを学んだのです。」と上級技術アドバイサーのジョナサン・イームズは言いました。「けれども私たちはもし一度でも薬害事故が起きればほぼ全個体を全滅させる可能性があることを十二分に承知しており、私たちはこのような事故が起きないように倍の努力をしなければなりません。」

「これらのデータをそのままカンボジアでハゲワシが減っていることの証拠だと考えるべきではありません。」とバードライフのカンボジアのハゲワシ保護プロジェクトのコーディネーターSum Phearunは言いました。「けれどもデータはカンボジア東部でハゲワシの減少が起きていることを示唆しており、私たちはその原因を知り対応する必要があります。恐らく原因はこれらのサイトにおける薬害、生息地破壊、ハゲワシ・レストラン運営に当たっての攪乱または一貫性の欠如およびデータ収集の一貫性の無さなどの複合的なものでしょう。」と彼は付言しました。

大きなハゲワシの薬害事故は2014年2月28日にモンドルキリ保護森林で起きた13羽のハゲワシの死体が発見されたことでした。これはカンボジアでは過去最大のハゲワシの薬害事故です。2013年にモンドルキリ州の他の場所でベトナムの企業がハゲワシのコロニー付近で森林伐採を始め、その結果、2014年にハゲワシはコロニーを放棄しました。

バードライフのカンボジア・プログラムはアンコール生物多様性保全センター、WWFカンボジア・プログラム、野生生物保護協会カンボジア・プログラムで構成されるNGO連合がカンボジアのハゲワシ保護プロジェクトを進めるに際しての牽引役です。

(報告者:マーチン・フォーリー)

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