欧州は海も海鳥も守ろうとしない

マリーンIBA     

6月7日のプレス・リリースでバードライフ・ヨーロッパはほとんどのEU諸国が‘EU野鳥指令’で命じたようなマリーン保護地域の包括的ネットワークの宣言を行っていないことに注意を喚起しました。これはほとんどの欧州の海鳥を危険な状態に置き、緊急に必要な海洋環境の保全が遅れることを意味します。バードライフ・ヨーロッパは欧州委員会にこのような受け入れがたい状態を容認するのを止め、EU法に違反しているすべての国で違反プロセスを始めるように求めています。このプレス・リリースは6月8日の‘世界海洋の日’に関連して発表されたものです。

EU加盟国は‘鳥と生息地指令’の下での‘ナチュラ2000ネットワーク’の一部として海洋地域を保全する法的義務を負っています。これは陸から200海里(1海里は1852m)までの沿岸海域に適用されます。加盟国に‘特別保護地域(SPA)’のネットワークの指定を求めるEU野鳥指令は1979年以来有効です。進展が広範囲に進んでいないことを認識して、欧州委員会はEUの2020年生物多様性戦略の中でSPAネットワークの完成期限を非公式に2012年までに延長しました。この期限も既に過ぎていますが、33年を経た今も包括的ネットワークの指定はまだ行われていません。

バードライフのヨーロッパ海洋コーディネーターのIván Ramírezは「2013年6月現在の状況は極めて憂慮されます。二つの主要な期限が過ぎてしまい、ドイツだけが海岸と沖合のサイトを特定し、既にサイトの保全と管理の活動を行っていると言える状況なのです。」と言いました。それに続けて「ベルギーやラトビアのようにドイツに続く国もありますが、まだ大きなギャップがあり、特にポルトガル、スペイン、イタリア、英国のような欧州の主要な海洋国家がすべて最も遅れている状態です。」と言いました。

何年もかけてバードライフ・ヨーロッパとそのパートナーは欧州大陸全土にわたってIBA(重要生息環境)を特定するための科学的データを集めてきました。IBAリストは何度も欧州裁判所によりSPAを指定する際の科学的な参考資料として認識されてきました。このようにあらゆる証拠があるにもかかわらず、欧州の海域の僅か2%がマリーンSPAとして保全されているだけです。

「今やほとんどの欧州の国について野鳥のためのマリーン保護区の確かなシステムを作るための科学的データが揃っているのですが、政治的意思の欠如が海と海鳥の保護に対する真の活動を妨げているのです。」とバードライフ・ヨーロッパのEU海洋・漁業政策オフィサーのJohanna Karhuは言いました。

EUは2020年までに少なくとも沿岸と海洋地域の10%を保全するというCBD(生物多様性条約)ターゲットなどを実現するという約束もしております。

バードライフ・ヨーロッパは保護区のネットワークを完成するためのEU資金を受け取っていながら結果を出していない国々を懸念しています。典型的な例がポルトガルとスペインで、両国は広大な海の領土と海鳥の多様性を有しています。両国はEUのLIFE資金のお蔭で、SPA指定を行うためのベースとしてマリーンIBAのリスト作りを2008年に終わっていますが、今に至るもこれらの地域をマリーンIBAだとする宣言をしていません。

マリーン・ナチュラ2000の指定は、陸上のほとんどのIBAがSPAとして保全されているのに比べて、はるかに遅れています。これはほぼ20年に及ぶEU委員会から加盟国への提訴につながっており、その多くはバードライフの各国のパートナーが告訴をしたことにより引き起こされました。

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