プラスチックごみは本当に無くせるか?

嘴にプラスチックの網をくわえて飛ぶシロカツオドリ 写真提供: © Cor Fikkert

世界中でプラスチックの生産と廃棄の量を減らす取り組みが行われています。称賛に値することですが、本当にプラスチックごみに終止符を打つことができるでしょうか?

いやな統計があります。毎年8百万トンのプラスチック廃棄物が海に流れ込んでいて、海にあるゴミの70%がプラスチックであるというものです。プラスチック廃棄物は海洋の表面から海溝まで海洋環境のあらゆる部分に到達しています。残念ながらこの傾向が変る兆しはありません。世界の海のプラスチックの量は10年で3倍になると予想されています。

プラスチックごみの海洋生物への影響も、同様にショッキングです。最近の調査ではおよそ90%の海鳥がプラスチックを飲み込んでいると報告されています。さらにひどいことに、多くの親鳥が飲み込んだプラスチックを雛に餌として与えてしまっているのです。バードライフの海洋プロジェクト・マネジャーのStephanie Winnardは「ワタリアホウドリの雛がプラスチックの楊枝が原因で死んでしまうのを見て、一度ならず涙してきました。」と最近の記事に書いています。

この10年間、プラスチック廃棄物を抑制するのにかなりの努力が払われました。2000年代初頭から様々な国が使い捨てポリ袋に税金を掛けたり、全面的な使用禁止したりといった取り組みを始めました。現在30カ国以上が(そのうちの20カ国はアフリカ諸国)何らかの形でポリ袋を禁止し、また別の30カ国が何らかの税金を導入しました。

このような禁止措置はポリ袋以外にも広がっています。2017年のジンバブエにおける発泡ポリスチレン容器の禁止から、EUでの使い捨てプラスチックの禁止提案まで、世界中の国々がプラスチック廃棄物を減らそうとしています。

「本当に素晴らしいことだと思います。これらの取り組みがプラスチック公害の減少に役立つと共に、この問題に対する消費者の認識が継続することを期待しています。」とカリフォルニア大学バークレー校・環境科学教授のKate O’Neill博士は述べています。

 

こうしたプラスチック廃棄物の削減努力は明るい話題ですが、実際にはどれほどの効果があるのでしょうか?これまでは規制措置によって環境にポジティブな影響が見られました。最もよく知られる事例の一つは、1987年にオゾンホールの原因であるクロロフルオロカーボン(CFC)を禁止するモントリオール議定書が署名されたことでしょう。その禁止以降、オゾンホールは大きくなっていないだけではなく、実際に小さくなっているのです。

けれども使い捨てプラスチックの問題は、フロンよりもはるかに複雑かも知れません。例えば、もし人が紙袋などの他の使い捨て袋に切り替えても、生産にも運搬にも今まで以上のエネルギーが必要となり、保全にはつながらないでしょう。更に2008年に英国の環境庁の調査では、地球にとって素晴らしいと思われていたエコバッグが実際にはプラスチックよりもはるかに大きく地球温暖化に貢献しうることが明らかになりました。表面上は生物分解性のあるプラスチックに似た素材にもそれぞれ問題があるようです。

「プラスチックを禁止しようと言いますが、代わりになるものがあるのでしょうか?切り替えたことで何が起きるのか、常に問わねばなりません。」とロヨラ・メリーマウント大学のビジネス・倫理・持続可能性研究所の教育顧問Trevor Zink博士は言います。

 

この「何が起きるか」という質問はリサイクルにも当てはまります。使い捨てプラスチック禁止に加えて、リサイクル可能なプラスチックの量と、再生プラスチックの使用量を増やす試みが行われてきました。けれどもこのアプローチには難点があります。

リサイクル製品は、それが新しい製品の生産に取って代わる時にのみ環境にプラスになります。しかし、カリフォルニア大学サンタバーバラ校のZinkとRoland Geyer博士の最近の論文では、リサイクル・プラスチックは実際には新しい製品の代替にはなっておらず、環境に対する純利益はないと論じられています。

このコアホウドリの幼鳥だけでなく、90%の海鳥がプラスチックを飲み込んでいる
写真提供: © Forest and Kim Starr

「リサイクルは少々複雑な要因が絡んでおり、さらなる問題をはらんでいると考えています。皆がリサイクルはやるべきことであり、使い捨てプラスチックは良くないということを知っています。しかし、リサイクルされることを知ることで罪の意識が緩和され、ペットボトルを買ってしまう傾向があるのです。もしリサイクルされないと分かれば、人々は異なる選択をするかも知れません。」とZinkは言います。

けれどもKate O’Neill博士はこの見解に異を唱えます。「リサイクルできるからプラスチックを使い続けるという意見があることは知っています。しかし、生物分解性ではなく分解されないプラスチックがすでに世界中に大量に漂っているのです。こうしたプラスチックをリサイクルする能力を強化するべきだと思います。」

O’Neill博士が考えるこの問題の解決策は、リサイクル可能なプラスチックを増やし、リサイクル可能なプラスチックが廃棄されないようにすることです。例えば2015年の英国のデータによると、リサイクル可能なプラスチックが150万トンありましたが、実際にリサイクルされたのは0.5トンに過ぎませんでした。「政府が投資しなければなりません。リサイクルが可能というだけでは実際にリサイクルが行われるわけではありません。そのための市場、という重要な要素が必要です。」とO’Neill博士は述べています。

 

また別の人たちにとっては、リサイクルも禁止も氷山の一角です。「本当にプラスチック廃棄物に取り組むには、発展途上国における廃棄物の管理に取り組まねばなりません。」とインペリアル・カレッジ・ロンドンで資源材料について教鞭をとるChris Cheeseman教授は言います。

2015年にOcean ConservancyとMcKinsey Center for Business and the Environmentが発表した報告書は、Cheeseman教授の主張を支持する内容となっています。それによれば、アジア太平洋地域の中国・インドネシア・フィリピン・ベトナム・タイの5カ国で世界のプラスチック廃棄物の60%を占めるとしています。また、これらの5か国で回収、焼却、リサイクルなどの取り組みを行えば世界のプラスチック廃棄物の排出量を約45%減らすことができると示唆しています。

 

「ペットボトルは作られてしまえば手遅れです。あとは浜辺ではなく埋立地に留めておくよう努力するしかありません。」

けれどもこの地域の環境活動団体はこの結論に反論しています。彼らは同報告書を批判する公開状を発表しました。それによると、提案された廃棄物管理という解決策は、リサイクルや堆肥化につながる製品作りの流れに反するものだとしています。

国のレベルで様々な議論がある状況では、あなたが流れを変えることなどできないと考えても許されると思うかも知れません。しかしそれは間違いです。リサイクルや使用禁止、廃棄物回収方法など多岐の議論がある中で、専門家が満場一致で同意しているのは、プラスチックごみを減らしたいなら、消費者はプラスチックの消費を減らさなければならないということです。

「ペットボトルは作られてしまえば手遅れです。あとは浜辺ではなく埋立地に留めておくよう努力するしかありません。ですから現実的には、廃棄物の処理方法を変えるのではなく、プラスチックの消費を変えることが必要なのです。」とZinkは述べています。

「Amazonにアイスコーヒーの瓶を1ダース注文したところ、一つ一つが個別に包装されていたのをよく思い出します。パッケージ業界には、プラスチック削減のために容易に解決できる課題が多くあります。また、消費者は割れたボトルを受け取るかもしれないというトレードオフを受け入れる必要があると思います。」とO’Neillは言いました。

もし海鳥がプラスチックを飲み込むのを防ぎたいなら、あるいは何トンものプラスチックが海に流入するのを防ぎたいなら、究極的な答えはプラスチックの使用禁止やリサイクルではなく、単純にその使用を全面的に減らすことでしょう。ただし言うのは簡単ですが実行は容易ではありません。

「簡単に解決できる問題ではありません。プラスチックは長命で耐久性の高い素材です。これがプラスチックの良い点であり、悪い点でもあるのです。」とCheesemanは述べています。

報告者:Margaret Sessa-Hawkins

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ヘラシギ © Ayuwat Jearwattanakanok

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