外来種問題に取り組むためのEU法制定が延び延びになっている

アメリカミンク
写真提供:GBNNSS

外来種は世界的に生物多様性を失う5つの主要因のうちの一つですが、EU(欧州連合)レベルでのこの問題に対する現在のアプローチは、外来種の性格上本来は国際問題であるにもかかわらず、その取り組みは国ごとの法律が首尾一貫せず、バラバラのパッチワーク状態です。この問題に対するEU法の制定は延び延びになっています。

外来種はその本来の生息地の外から人によって持ち込まれた生物です。このような外来種は生物多様性、社会経済あるいは人の健康に悪影響をもたらし、侵略的であると考えられています。

欧州委員会からの資金援助による調査で現在欧州には12,000種を超える外来種が生息し、そのうちの少なくとも15%が侵略的であると考えられています。そのような外来種の例としてアメリカミンクが挙げられます。欧州環境機構(EEA)が発表した‘欧州における侵略的外来種’に関する報告によれば、アメリカミンクは固有種のヨーロッパミンクやヨーロッパケナガイタチに取って代わり、地上に営巣する鳥(ユリカモメやアジサシなど)や小型のげっ歯類(ヨーロッパミズハタネズミなど)を捕食してそれらの種の個体数減少の重大な原因となっています。

外来種はさらに大きな経済的損失にもなっています。EUではその額は2009年に年間少なくとも120億ユーロであったと計算され、人や物の世界的な動きの増加に伴いその額は上昇しています。

人の健康への影響も深刻です。2012年にフランスで外来種のアジアスズメバチの巣を突ついてしまった男性が死に至り、また多くの外来種植物や昆虫に人が触れたことにより命に係わるアレルギー反応を引き起こしています。

去る2月21日、バードライフ・ヨーロッパと国際自然保護連合(IUCN)は欧州議会で‘外来種: 時を刻む生物多様性への時限爆弾’と題するイベントを共催し、その場で、外来種の影響とEUレベルでの行動の必要性が強調されました。

この問題に対処するべきEU法の制定は延び延びになっており、既に2009年には欧州議会と加盟国からその制定の呼びかけが行われていたのです。

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